www.korou.jp やや雨降り模様の白波ザブーン旧東映のカンパニークレジット。硬い朗読調のナレーション。観る者を一気に'70年代東映実録ヤクザ路線、とりわけ深作欣二&笠原和夫コンビ作品のそれを想起させる仕掛けに乗れたら後はフルスロットルで駆け抜けられる。
ベースは「県警対組織暴力」('75)に間違いないだろう。それにフリードキンの「L.A.大捜査線/狼たちの街」('85)が加味されているように見える。
灰原隆裕撮影+川井稔照明の仕事が素晴らしい。日本映画で本当に久しぶりにちゃんとお金をかけて作り込まれたルックに心の底から感動した。松坂桃李に近づく女(阿部純子)の部屋のセット(美術:今村力)に往年の東映セントラル作品の匂いを嗅ぐ。あの透明の冷蔵庫の中のスイカとプリンはウォン・カーウェイ調だ。音も素晴らしい(録音:浦田和治)、とってつけたような銃声じゃない。人間の肉をえぐる音も。監督以下スタッフ全員の気合いの入った仕事に応える俳優陣、二言目には「モリタカ!」と呼ばれる遊びゴコロに殺気で切り返す江口洋介は演技賞もの。
韓国映画「犯罪都市」に対バン張れる初めての邦画、やれば出来る!と言うと「上から」との誹りを受けるかも知れないが、天晴!佳作、お勧め。