映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「タリーと私の秘密の時間」監督ジェイソン・ライトマン at 塚口サンサン劇場

www.facebook.com   脚本ディアブロ・ゴディとライトマン監督の三度目のコンビ作。なるほど面白い脚本だ。家父長主義由来の「女は育児洗濯台所」という役割分担はアジア圏の悪しき風潮、とされるがNY郊外のここん家でも同じだった。マーロ(シャーリーズ・セロン)は三人目の子供を身籠っている。長男が学習障害、裕福な兄のお陰で入学できた私立学校からは転校を勧められる。学習障害を認めたくない(が、おそらく内心分かっている)、エスタブリッシュな兄と日本人妻の家庭、それに比べて凡庸に見える自分の夫、産後の育児を軽減したいからベビーシッターをとの進言を一旦は断るマーロ、しかしストレスとコンプレックスは頂点に達して行く。そこへ現れた若くて美しい夜間ベビーシッター、タリー(マッケンジー・デイヴィス)は完璧に赤ちゃんをあやし、魔法のように掃除をしてカップケーキまで焼いてくれる。さてこの先はネタバレになるので黙っておくが、マーロがタリーを誘って夜のブルックリンに出掛ける、'90年大ヒットソングと共に「あのイケイケだった頃」に戻るマーロ、盗んだ自転車で街を走り出すショットで涙が出た。日本映画に多い安易なタイムスリップものには辟易するが、これはもう戻るはずもない時を取り戻す一瞬として煌めいた。

 兄の夫の日本人(演じているのは中国系のエレイン・タン)、そのディナーは箸を使った日本食、立ち直ったマーロがジョギングで張り合う相手も日本人、タリーの「こんにちは」と言う日本語の挨拶、保育園のカラオケ、極め付けは日本が舞台の「007は二度死ぬ」('67)のテーマソングのカヴァーバージョンが流れるという何故か散りばめられたJAPANがスパイスになっている。ラストはやや纏まり過ぎに感じたが主婦の日常をユニークな切り口で観せた、佳作、お勧め。

 

You Only Live Twice

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