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「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」監督ステファノ・ソッリマ at 神戸国際松竹

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 2015年の傑作「ボーダーライン」の続編。脚本は今売り出し中のテイラー・シェリダンが前作から引き続き、だが監督はお忙しヴェルヌーヴからイタリアのステファノ・ソッリマに変わった。

 再びメキシコ国境を巡る麻薬戦争かと思いきや、イスラム過激派テロリストを米国内に送る不法移民ルートを巡る戦いが描かれる。ヴェルヌーヴが斬れ味鋭い名刀ムラマサだとすればソッリマは重い牛刀といったところだろうか。斬れ味、よりはガツンガツンと重みでぶつかって来るアクション。さて今回のアレハンドロ(ベニシオ・デル・トロ)怒りの銃弾、冒頭で悪徳弁護士を血祭りに上げる以外は観客の期待をスカすように16歳のカルテルのボスの娘の守りに徹する。一方、相方ジョシュ・ブローリン演じるCIA捜査官の方の方があの手この手の処刑手口をみせて痛快。が、ちょっと話がとっ散らかったか、娘を誘拐されたボスが一度も登場しないので怒髪天を抜くかのような悪党の怒りが伝わってこない。そこと繋がっていてCIAを裏切るメキシコ軍も弱いし、彼らもまた顔のない存在だ。関係ないが「ワイルド・バンチ」('69)のメキシコ軍はもっと憎たらしかったな。

 観る側の共感を一身に背負うヒーローたるアレハンドロを、続編(第3作)を作るにあたり殺す訳にはいかない、が、それでは後半のテンションがと苦心惨憺した演出だろう、やや無理筋。全体的に寸止めな印象、全てはシリーズ化の為のプロデュース事情か。

それにしてもヨハン・ヨハンソン、惜しい人を亡くした。

 

The Beast

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A Simple Aventure Story ,Sam Peckinpah,Mexico and The Wild Bunch.