映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「燕 Yan」監督・岡田圭佑 at 新宿シネマカリテ

tsubame-yan.com 一青窈さんが出ていて台湾ロケ、と知って前々から期待していた。撮影部出身の岡田圭佑監督デビュー作。

 目まぐるしくカットが変わる冒頭から一人の青年、燕(水間ロン)の神経質そうな横顔が浮かび上がる。実家の父親に呼び出されて帰省する燕。すぐに家に上がらず何故か玄関で母親と立ち話を暫くするのでおかしいなと思ったらそこは父と再婚した継母との家だったのだ。細かい演出が効いている。過去の幼年期の記憶からするとどうやら燕は実母(一青窈)、兄と生き別れたようだ。父の言付けを持って台湾・高雄に向かう燕、程なく実兄の林龍心(山中崇)と再会するも龍心は燕を無視し続ける。実母はすでに他界しているらしい。兄弟は共にわだかまりから抜け出せないようだ。

 私の映画「ママ、ごはんまだ?」の不幸版のような感じ。一青窈さんが台湾人の母親らしくテーブル一杯の台湾料理を作ったり、台湾式の弁当を日本の学校で馬鹿にされたり、と共通するエピソードが出て来たりする。一方、子供の母親への反抗や無理解な日本人達の描写は凡庸なまでに類型的だ。

 ひたすらに避け続ける兄を追う弟、という展開で、両親の離婚の原因や何故兄弟が引き離されたのかは不明のままだ。兄が母親に可愛がられて弟は捨てられたと思い込んでいるというのはありふれた幼さだ。兄も兄で何か重大な心痛があったような佇まいだがそれもよくわからない。うわべだけでも仲直りするのが大人なのだが、そういう展開にはならず、酒場で取っ組み合いになる。

ショーン・ペンの監督デビュー作「インディアン・ランナー」('91)は戦争から帰郷した弟が人が変わってしまっていて、それを兄が懸命に支えるという話しで、本作と同じく子供時代の仲の良かった頃が語られていた。情動の変遷が描かれていてこそ血縁の絆が描けるというものだと思う。

インディアン・ランナー [DVD]

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  • 発売日: 2004/05/26
  • メディア: DVD