映画和日乗

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「デッド・ドント・ダイ」監督ジム・ジャームッシュ at TOHOシネマズ西宮OS

www.imdb.com ホラー映画というのはジャンルの一つだが、ゾンビ映画というのはホラーともスプラッターとも区別されて独立したジャンルとされている。法律で決まっている訳ではないがゾンビが出て来る映画をわざわざホラーともスプラッターとも言わないのが不文律であろう。別に大して意味も意義もないが。

 同じくそれほど意味も意義もないのが本作。タイトル「死は死んでいない」を深淵なテーマと捉えることも出来るが、ここではひたすらゾンビの顕在化を肯定する為だけにある。

 ジャームッシュらしい間合いと呼吸をきっちり組み込んだ会話は森田芳光山下敦弘といった日本語を使う監督に近いと常々思っていたが今回もそのノリ。田舎町の変な奴らの佇まい、山下監督の「松ヶ根乱射事件」('07)を想起する。

 地球の自転の軸がズレたら何故ゾンビが出現するのかは分からない。自然破壊がウイルスを出現させ人類を襲う、という現在を予見してのメタファーなのか、という程ではないと思う。ネタバレになるので詳細は書かないが後半のティルダ・スウィントンの「回収のされ方」もただのギャグだろう。アダム・ドライヴァーの「スター・ウォーズ」のアレはベタ過ぎてテレビのコントレベル。

 しかしなぁ。良いのかこんなので。目くじらを立てる訳ではないがBC級ジャンル映画をボク流にハイブロウに味付けしてみました、深い意味はないから笑えよーって感じ。しかしIMDbの点数は低く、批評もボロクソだ。まだ「ゴースト・ドッグ」('99)の清順オマージュの方が素直でカッコ良かった。

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