映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「海辺の彼女たち」監督・藤元明緒 at TOHOシネマズ六本木ヒルズ

2020.tiff-jp.net TIFFで観たいと思った唯一の日本映画、もといベトナムとの合作。

 私もまたアジア圏の国との合作を目指している事から偵察の意味もある。また私の「ママ、ごはんまだ?」が正式出品されたサンセバスチャン国際映画祭に今年本作が出品されている点も興味深い。

 何処かの都市から夜逃げしようとしている三人の女性から映画は始まる。ノーライトのビデオ撮影故、所々何が映っているのか判然としない。六本木ヒルズの最上級のスクリーンでこれだといくら狙いとはいえ厳しい。テレビモニターサイズだと真っ暗だろう。

 三人はベトナム語を話し、逃げた先の雪国(車のナンバープレートは青森)でブローカーの車に乗せられて漁港に辿り着く。馬小屋のような宿舎で一夜を明かし、翌日から漁港で魚の仕分け作業に従事する。やがて年嵩の女性が体調を崩し、嘔吐。残りの二人が即座にこれが妊娠と気づかないのは不自然。

 パスポートも身分証明書も保険証もないので病院では門前払い。それらの偽造には5万円かかり、国への仕送りをやめて捻出。病院で検査を受けられるがブローカーに堕胎の薬を渡され、偽造外国人登録証を取り上げられる。

 さてどうなる、と思う展開がどうにもならず終わる。ロシアのカネフスキーやベルギーのダルデンヌ兄弟の影響が垣間見えるもこの両巨頭が決まって作品の中で示す問題の本質への問いかけと状況の流転や反転、そして救済への引導は本作には無い。

 製作費の見当は付く。極限までパーソナルな作りであることは自明だが、ならばこそ「こんな時代(そして国)なんです。どうしたら良いのでしょう」という提示だけでは物足りない。