映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「エイブのキッチンストーリー」監督フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ at OSシネマズミント神戸

www.bluefoxentertainment.com 監督はなんとYouTube出身のLA在住ブラジル人、遂にそういう時代が来たという訳だ。

 映画の国籍としてはブラジルとアメリカの合作だがモチーフはイスラエル対アラブ。戦争映画ではないが「もしもユダヤ教のママとイスラム教のパパの間に子供が生まれたら」という家庭内戦争から考察する和解への道、といったところか。

 舞台はNY、12歳の少年エイブ(ノア・シュナップ)の名前はヘブライ語ではエイブラハムでアラビア語ではイブラヒム。本人はエイブと呼んでほしい、というイントロ。

 エイブは料理が好きで色々創作料理に挑んでいて、ラーメンタコスなんてのも作る。YouTube出身監督はネットでの反応やら料理のコラージュやら忙しなくカットを重ねて行く。チラッと日本のお好み焼きも見える。

 が、芝居場になるとベターッとしたフルショットで捉えるので途端に「渡る世間」並みのテレビ仕様。

 異教徒同士の結婚を機に両親はそれぞれ無宗教となった。まぁこれはドラマ上の都合としか言いようがなく、それぞれの実家が乗り込んで来て口論となり食卓はいつも緊張感が走る。

 エイブはネットで見つけたブラジル料理の屋台に興味を持ち、屋台の親父チコ(セウ・ジョルジ)に弟子入りする。

 チコはエイブのラーメンタコスを見て言う台詞がこの映画のテーマとなっている。「お前の料理はfusion(融合)ではなくconfusion(混乱)だ」。

 結局両親は不仲となり両親と家族間の融合を目指してイスラエル料理とアラブ料理のフュージョンを試みるエイブだがかえってコンフューズドしてしまう。

 イスラエルとアラブもまた70年近くこのことを繰り返している。子供らしいエイブの考える理想的な平和主義ではこの問題は解決せず、今日に至るまで日々流血が続いている。映画はしかしそこへは踏み込まず、両家の和解で幕を閉じる。両親もまた元の鞘らしい。90分を切る尺は好ましいものの、展開としては単調、もうひと捻り欲しいところ。

 現実はこうらしい。↓

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あと「テルアビブ・オン・ファイア」('19)にも出てきたフムスというイスラエル料理、本作にも出て来て興味いや増す。