映画的日乗

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「アウシュヴィッツ・レポート」監督ペテル・ベブヤグ at シネリーブル神戸

www.imdb.com 映画冒頭に出て来る字幕は、先にみた「復讐者たち」とほぼ同じ意味だ。実話を基にしているという点も。

こちらの基になった実話は↓

https://www.facebook.com/vrbaandwetzler/photos/?viewas=0

「復讐者たち」では周到に避けていた強制収容所の内情の描写をこのスロバキア国籍の映画は徹底的に描く。

 敢えて逆光を多用して囚われたユダヤ人達の表情を隠すように撮影している。また、逆光で感情の見えないナチス下士官の顔が、キャメラが移動して順光になり悪魔の形相になるホラー演出。収容所の夜がずっとオレンジ色なのもこれまでのこの手の映画と違ったテイストを見せる。

 また衣装の汚れ方、俳優の痩せ方、細部を疎かにしていない。

 森の中の首だけ出して生き埋めにされているユダヤ人達。恐ろしい画が、優れて造形されたフォルムという、あまり適当でない言い方になってしまう程緻密に描かれている。

 脱走者を出した棟の収容者の一人を伍長が責め立てる。「お前のやってる事はカトリックの善行だろ。修道士だな」と。

 ユダヤ人でカトリックはあり得ない、同性愛者でもない。彼はユダヤ人ではなくスロバキア人でカトリックということか。強制収容所で餓死させられたコルベ神父を想起する。これはカトリック聖職者も少なからず囚われていた事を示している。

コルベ神父について

 当時の赤十字の呑気ぶりは翻って欧米全体の意識を代弁しており、非ユダヤ人世界の差別的本心を物語る。

 カタルシスは一切ない。先の聖職者も遂にはガス室に送られた事を示唆している。途中、クレジットで1944年4月だと示されている事からするとナチス敗退、収容所解放まで一年もないというのに。

 エンドロールの声がこの映画のモチーフとなっている。ドナルド・トランプの声もそこにある。

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