特段のコルトレーンファンでもないのだが、知り合いが出演しているので満を持しての鑑賞。
というのも本作は2016年の作品。知り合い、の大阪在住・藤岡靖洋氏からしばしばロケの事を聞かされていた。
ジョン・コルトレーンの生涯を時系列で分かり易く紹介。合間に様々な証言とビル・クリントン米国元大統領の「評論」が入る構成。時にプライベートな8ミリフィルムが挿入され、愛ある家庭の様子も窺える。
が、後半突然爆音と共に長崎の原爆投下、それにまつわるコルトレーンの逸話。
日本=ナガサキとのかかわりに続いていよいよ我らがFUJIこと藤岡氏の登場となる。まさかこんなに詳細に彼の事が紹介されているとは思っていなかったので面食らう。
エンドロールでも「世界一のコルトレーン収集家」の面目躍如、何回もその名前が刻まれていた。
真の芸術家は先天的にシンプルなテーマを追い求めて創作を行うか、あるいは試行錯誤の末にシンプルなテーマに行き着くのだとすれば、コルトレーンは後者なのだろう。
愛とか平和とか、まるで水や空気のように当たり前過ぎて胸に響かない言葉を、音に置き換え続けて伝えた偉大なる音楽家だった、という事がダイレクトに伝わって来て不覚にも感動。