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「シン・仮面ライダー」監督・庵野秀明 at OSシネマズミント神戸

『シン・仮面ライダー』公式サイト

 庵野秀明監督は私の4つ上、「仮面ライダー」のテレビシリーズは第一期の1971年は小学校高学年で体験しているという訳だ。本作はその時代から2号ライダーの時代を充分意識しつつ現在へとコンバートしている。

「コミュ障」という台詞が出て来て嫌が追うにも1970年代を置き去る一方、蜘蛛男や蜂女といった第一期の登場怪人を彷彿とさせるキャラクターがイマ風の呼び名と出立ちでライダーを攻撃する。大抵驚く程弱いが。

 イントロから快調、ヘンシン(トゥ!とは言わない)、跨るバイクがライダーバイクに変貌するアクションには興奮させられる。が、この映画私にはここまで、であった。

 浜辺美波演じる緑川ルリ子が延々長台詞を喋るものの何を言っているのか分からない。俳優の苦労が目に沁みる。

池松壮亮演じる本郷猛は父親の殉職に由来する「戦わない」ライダーで、ヘタレ。後半2号ライダー一文字隼人(柄本佑)に将来を託す始末。そもそも彼らが戦う悪の組織は世界征服を企んでいるのかどうかもよく分からず、世界、社会、一般市民への危害も被害も描かれないのでライダー達の戦うモチベーションが何なのかが不明。挙句「他人の気持ちが分からない」と独白する本郷君は結局自分と戦っていた、ということなのか。知るかそんなことである。

 エンドロールの歌3曲は心の中で合唱、そこだけ楽しめた。あと長澤まさみの顔見せ的怪演と。この蛇女とも戦わないしさ。もう「シン」は打ち止めでいいんじゃないかな。