映画和日乗

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映画「道草キッチン」2025年11月公開  

「35年目のラブレター」監督・塚本連平 at OSシネマズミント神戸

『35年目のラブレター』映画公式サイト

 

 実話をベースに監督・塚本連平が脚本化している。

同題名の本が出ていて、先日その著者の小倉孝保氏とお会いする機会があったので興味が湧き、劇場へ。

そうでもなければ敬遠していた。因みに小倉氏は本編ではクレジットされておらず、本は原作ではなく、既に知られていた実話を毎日新聞記者である小倉氏が再取材して著したようだ。

 

笑福亭鶴瓶、原田知世と初共演で夫婦役! 実話を映画化「35年目のラブレター」25年3月7日公開 : 映画ニュース - 映画.com

 

 古今東西俳優に求められる属性というものがある。天使のような人、天真爛漫な人、陰のある人。殺し屋のような、娼婦のような。

そんな中、日本の映画に於いて独特な属性は菩薩のような人。

ここに笑福亭鶴瓶原田知世、そして上白石萌音という三人の菩薩が揃った。特に原田知世は画面の中で佇むだけでそうなっている。

 西畑保(鶴瓶)が文盲なのは貧困と戦争が原因で、妻晈子(知世)もまた戦災で両親を亡くし、姉(江口のりこ)は顔にケロイドの痕が残る。

 

晈、という字が珍しいので検索すると

kanji.jitenon.jp

なるほど。

 

姉を慮り保との結婚を思いとどまる晈子が、姉と共に保と喫茶店で会うシーンにグッと来てしまう。

姉は、この疵があればもう姉に縁談などあろうはずはない、なんとか黒髪で疵を覆ってはいるが隠しきれず、精一杯明るく振る舞おうとウケない冗談を放ちつつ、保に心配しないで一緒になって、と語る悲哀。

江口のりこ流石であった。彼女もまたこの映画の菩薩の一人であろう。

映画を観終わってここのシーンが何度も頭の中でリフレインしている。

 

 字を識る為に夜間中学に通う保。

昭和の時代はそれこそ戦争に起因する貧困によって通学する学生が多かったが時は流れ、時代は移り教室には働く外国人と共に場面緘黙(ばめんかんもく)症の青年が登場する。

場面緘黙症のドキュメンタリーを見たことがあるが、そう易々と治るものではない。

 


www.youtube.com

 

が、本作では青年は保に割と早めに心をひらく。

リアルではないと論うつもりはない、やはり保は菩薩なのである。そう解釈したい。

 

 公開からひと月経っても劇場一日二回上映、平日昼間、春休みからか意外にポップコーン片手の若い層が多い。皆さんボロボロと泣いていて、それはそれで良いと思う。

ただ一点だけ、保と晈子が結婚する時の婚姻届は誰が書いたのであろう。

結婚当初は保は字が書けないことを晈子に隠している。そこだけ説明が欲しかった。