映画和日乗

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「AIR/エア」監督ベン・アフレック at ヒューマントラストシネマ渋谷

伊丹空港よりNH24便で羽田空港着。

Air | Official Movie Site

映画『AIR/エア』公式サイト

 

 待望のベン・アフレック監督最新作は、Amazon資本でスポーツシューズメーカー、NIKEの隆盛の歴史を描く。

 オープニングはダイアー・ストレイツの"Money For Nothing"で一気に1980年代へと誘う。勿論この曲のタイトルがNIKEのその時を象徴していることは言うまでもない。

 

Money For Nothing

Money For Nothing

  • provided courtesy of iTunes

 

 NIKE1984年当時アディダスコンバースに次ぐ業界3位。あらためて検索してみると、

ナイキ - Wikipedia

なるほど。発祥は日本資本だったのね。

上位二社に及ばない業績で営業部門にソニー(マット・デイモン)が招聘されるところから物語は始まる。招聘した社長フィル・ナイト(ベン・アフレック)は仏教に傾倒する変人。そしてこの二人洋服の趣味が酷い。ソニーは無頓着でダッサいポロシャツ、フィルは悪趣味。服の趣味で二人のキャラクター付けをするアフレック演出。

ソニーは家族も持たず仕事中毒振りが際立つ。狙うはマイケル・ジョーダン。業界最下位のNIKEがスーパースターと独占契約を結ぶまでが描かれる。

 話が単純な分、とにかく出て来るキャラクターの面白さで魅せ切る。極め付けがジョーダンのママ、デロリス(ヴィオラ・デイヴィス、名演)のステージママぶり。

 キング牧師の演説をヒントに行動と言葉で奮闘するソニーの姿はこれぞ" Just Do It"のNIKEスピリット。随所にその言葉の深みを多面的に表現する巧み。

 アフレック監督、デビュー作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(2007)以来、アメリカ映画の少し前のクラシックスタイルで時に'80s、'90sのフレーバーを効かせる趣向は本作でもブレない。20世紀型なところが「アメリカ映画とは何かをわかってる」監督。

 この味わいが僕らの観てきたアメリカ映画だ。近年のオスカー受賞作を眺めていても変化球ばかりで正直疲れる。

 全体にお気楽なムードも悪くない。いちアフレック監督ファンとして贔屓目で傑作、お勧め。あくまで贔屓として。