
1973年、テレンス・マリック監督長編デビュー作にして日本初公開。
デジタルリマスタリングで映像音声共に綺麗。オールアフレコなのがよく分かる。
テレンス・マリック監督の初長編作品が、本国公開から50年を経てついに日本初公開へ 映画『バッドランズ』 - otocoto | こだわりの映画エンタメサイト
開巻、あれ「トゥルー・ロマンス」('93)のタイトル曲にそっくりだな、「トゥルー・ロマンス」の脚本を書いたタランティーノが「バットランズ」から影響受けてこの曲使ったのかと勝手に思い込んでいたが、観終わって本作の宣材を読むとタランティーノではなく監督トニー・スコットが引用したらしい。
しかも元の曲は「ムジカ・ポエティカ」というドイツの子供向け教育音楽。
不見識を恥じる。
ことほど左様に音楽のセンス、画角の決め方はやはり栴檀は双葉より芳し。ニューシネマ末期、低予算だが何でもありの時代のエッジが効いている。アメリカのベトナム撤退が1974年。若者はどん詰まりの時代だ。
ストーリーは実話ベースらしい。
時代設定は1959年らしい。
キット(マーティン・シーン)が「朝鮮では」と口走る。朝鮮戦争に従軍していたのか、にしては若過ぎる。最初の殺しの後、逃げた森の中で仕掛ける罠はどうみても朝鮮戦争のそれではなくベトナム戦争のブービートラップに見える。
テイストは違うがベースのところで似ているのは長谷川和彦「青春の殺人者」('76)だろう。両作とも親を殺して逃亡する。時代の空気も近い。
もっと早く、それこそ「青春の殺人者」と同時代にこの映画を観ていれば受けた衝撃は大きかっただろう。こちらの感覚は既にこの映画から影響を受けたであろう、それこそ「トゥルー・ロマンス」を含めた数々の映画を先に観てしまった「不運」を思うのみ。
ゴダールが1960年につくった「勝手にしやがれ」を15年後くらいに観てしまった時と似た感情が湧き起こる。
テレンス・マリックは「天国の日々」('78)前夜、主演のマーティン・シーンは「地獄の黙示録」('79)前夜、そしてシシー・スペイセクは「キャリー」('76)前夜。
「バッドランズ」はアメリカ映画の黙示録だったのかもしれない。