https://www.imdb.com/title/tt3031654/?ref_=nv_sr_srsg_0
私は映画音楽の金字塔、最高傑作は"The Good,The Bad,And The Ugly"即ち「続・夕陽のガンマン」('66)だと信じて疑わない。今でも三日に一回はテーマ曲を聴くほど愛してやまない。
2004年モリコーネの来日コンサートにも行った。あまりの感激で最初から最後まで泣きっぱなしであった。
その巨匠エンニオ・モリコーネの一代記をジュゼッペ・トルナトーレ監督によるインタビューと構成で綴る。
父子二代にわたるトランペッターだとは知らなかった。名門音楽院を卒業するも正統派クラシックからは早々に逸脱する。歌謡曲のアレンジャーとして引っ張りだことなり、正統派の師匠連中からは眉を顰められるのだ。
モリコーネの記憶による独白は感情豊か、そして思いついたメロディーが口をつく。何時間聞いていても飽きないくらい興味深い話しで満載である。
まさに天才にして異能。誰がコヨーテの遠吠えをアレンジして曲に乗せてしまう事を思いつくというのだ。
セルジオ・レオーネとモリコーネはまさしく恊働作業であった事もよく分かり、二人は運命の出会いであった。
二人による「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」('84)。パンフルートを巡るエピソードで涙腺が緩み、「ミッション」('86)のフルオーケストレーションで決壊。号泣してしまう。
50年近く映画を観てきて、2004年の来日コンサートの時も思ったが、本当に佳い映画と音楽に出会って人生良かった、モリコーネの音楽と出会った幸運はなにものにも代え難いとあらためて確信した。
アカデミー授賞式、ハービー・ハンコックとの抱擁も感動的。
モリコーネの音楽には愛の普遍性と前衛への勇気が両立している。不世出であり永遠でもある。いま時代は限りなく下品で白痴的に下降しているが、本作を観ることで心豊かに生きる悦びを取り戻せるような気がした。
傑作、お勧め。