映画和日乗

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映画「道草キッチン」2025年11月公開  

「脱走」監督イ・ジョンピル at kino cinema 神戸国際

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 観終わって思い出したのが、2017年の事件。

 

gendai.media

この記事を読むと本作がヒントにしている事は想像に難くない。

そして、上手くアレンジしたとも想像出来る。

 DMZ北朝鮮側兵舎、深夜に窓から抜け出したギュナム軍曹(イ・ジェフン)、ピューマのような俊足でDMZを駆け抜けるが、それは地雷の位置を確認する為。韓国側へと亡命する機会を窺っている。それを知るもう一人の兵士がいて行動を逸るが失敗、絶体絶命のところをある高官に助けられる。

この高官リ・ヒョンサン少佐(ク・ギョファン)の登場の仕方が良い。厳しい将校達の前にリップクリームを持って現れ、それを唇に塗って妖艶に微笑む。これだけでゲイなんだなと匂わせる演出と演技によって、事ここに至るまで非情な北朝鮮軍隊像をリアリズムで描きながらリップクリーム一本で強烈なフィクションへと旅立つ仕掛けに感心。

大体、北朝鮮軍高官の軍服が燕脂色という点からしてもう確信犯である。

少佐と軍曹は、かつて幼馴染だった。高官の息子と、下僕の息子としての関係で。

少佐は特権を使って子供時代と同じく、軍曹を自分の下につける。

パーティがあり、軍曹がある高官を公に褒め称えるが、それによってお目溢しを受けられるという。そんな単純なのか北朝鮮階層社会。

軍曹は少佐の目を盗んで、囚われていた部下を連れて脱北を試みる。

結果過酷な逃走に部下は力尽き、軍曹は逃げ切る。いや、そう思った寸前に追いついて来る少佐。描写からすると「それはあり得ん」。あんたどうやって追いついてん。

しかし、脚本とキャメラの熱量としては既にピアノでラフマニノフを弾き、同性愛の失恋経験があるという少佐へと注がれている。後半段々なんでもアリになり、少佐は狙撃の名手でもあったり。拳銃はトカレフじゃなくグロックだし。

なので、繰り返すがマカロニウェスタン並みになんでもアリ。上等。

過酷な国家対立アクションにフィクショナルなキャラクターをぶち込む新手。残虐と諦観のパラドクス、磁場となった少佐役ク・ギョファンお見事。

 

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