安易なタイムスリップものには辟易するが、今作の展開にはなるほどこの手があったかと膝を打った。タイムスリップではなくリインカーネーション=輪廻転生である。
ネイティブ関西弁のやり取りの心地よいテンポをそのままワンカットで収めているシーンが多く、監督も関西人だとその辺の塩梅が絶妙で、監督と俳優が同時にワクワク「血が騒いている」のがよく分かる。
私は自分が一度失敗した教訓から非関西弁ネイティブの俳優に無理をしてそれを強いる事を二度としないと誓っている。本作はプロデューサーがきちんとそれを尊重、実践してキャスティングしているので、前田監督はやり易かったと思う。
あまり予備知識なく観た方が良い作品だ。
ベタつかない有村架純の爽やかさ、鈴木亮平とファーストサマーウイカのダイアログの見事さ、馬場園梓のさりげなさ。オール阪神・巨人を「賑やかし」に納めず画にきちっと嵌める。
そして全てを持って行く酒向芳。
ダイエット、壮絶だったんだろうと想像する。そして気品が溢れていた。
結婚式で新郎の名刺を翳す六角精児、無くても伏線は分かるだろうと思うがこの「丁寧な説明」が前田哲監督の昨今の仕事ぶりを反映している。
御代に見合った佳き映画、お勧め。
今年「あまろっく」(未見)「35年目のラブレター」そして本作と関西人情ものが続くのは偶然か、それとも時代の要請か。