映画『星と月は天の穴』オフィシャルサイト 2025.12.19公開
1969年(原作ではその少し前という設定らしい)の東京。
小説家・矢添(綾野剛)が書斎で原稿用紙に向かいながら万年筆で文字を紡いで行く。やがてその「書いている世界」と実際の彼の行動が混然として行く。どこまでが矢添でどこからが「A」なのか。書斎に紀子(咲耶)から電話がかかって来る、家の前の公園で待っていろ、公園で落ち合う二人。書斎ではハイライトを喫っていて、公園ではラーク。なるほど。
バーで「新宿泥棒日記」('69)を観に行こうよ、と女性を口説く映画監督(原一男)。
「新宿泥棒日記」に出ていた横山リエのような女性は絶滅してしまった。あの頃の喋り方、あの頃の女性の、ちょっと浅黒い肌。それらを微細に再現して行く荒井節。
過剰なノスタルジーは悪くない。もっと盛って溺れてしまいたいくらいだが、現代に「あの頃」を表現する不自由さは如何ともし難い。
咲耶、あのお父さんとお母さんの娘なのか。不貞腐れたような顔はお母さん譲り、好演。
「バー荒井晴彦」で「いつもの」と注文すると出てくるカクテルのような映画。
