映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「ライトハウス」監督ロバート・エガース at TOHOシネマズ西宮OS

www.imdb.com モノクロ、スタンダード、息苦しいまでの表現主義的構図という復古主義にイマ風爆音サウンドというコーディネート。

 データベースのスペックによるとカラー撮影からのデジタル変換ではなくモノクロ35ミリフィルムによる撮影。

 19世紀の末か、20世紀の初頭か。映画が始まってもなかなか国籍が分からないのだが、アメリカのどこかということが登場人物の服装で分かる。

 灯台守(ウィリアム・デフォー)のもとに赴任してきた助手(ロバート・パティンソン)。

 座ったソファの破れ目から人魚を象ったお守りのようなフィギュアを見つけ出す。

 人使いが荒い灯台守の指示に黙々と従う助手。酷い重労働だ。

 口汚く、面白みのない灯台守だが時に詩を呟く。一方カナダの森で暮らしていたという助手は寡黙で「規則だ」と酒も口にしない。たった二人きりの生活に息が詰まりそうになる助手はしばしば人魚の幻覚を見る。四週間で検査官が来て、次の助手と交代する約束が悪天候に阻まれてしまう‥‥そこから始まる無間地獄。

 特にサスペンスフルな何かが起きるわけでもないのに爆音でホラー映画調の劇伴をつけて脅すような演出。「死んだ船乗りの霊が乗り移っている」と言われる不気味な海鳥との残虐な闘い。19世紀の灯台守の生活の過酷さは伝わるものの、全体的にコケ脅しに見えて仕方がなかった。

 画は美しい。死骸も汚物もわんさか出て来るがそれとてアンダーコントロールされた表現主義を貫いていて潔い。

 エンドロールのSpecial Thanksにアリ・アスターの名前を見つける。