2019年7月の記事
そして2022年6月の記事
トランプ政権下で制作されバイデン政権下で公開されたこの映画。
トップガンチームの一員にアジア系が一人いるのが確認できるがストーリーには全く絡まず、中盤以降は消えている。編集で落としたことは想像に難くない。
なにわの商人顔負けの商売人ジェリー・ブラッカイマーの朝令暮改、華為の事案もそうだが急速に米中間の仲が悪くなった影響が見て取れる。またトップガンチームの攻撃目標は「ならず者国家」としか示されず北朝鮮でもイランでもない雪山を擁するどっかの架空の国なのは本作がアメリカ空軍全面協力というリアリズムであるが故のフィクションという二律背反が生じている。
さて、政治的側面はともかく、36年ぶりの続編。
前作のサウンドトラックでガーン、開巻1分ほどであの時代の空気へと戻すテクニック。トム・クルーズ1962年生まれということは今年60歳、2018年だと56歳。
ちなみにイーストウッドが56歳の時に何やっていたかというと「ハートブレイク・リッジ」('86)、奇しくもこちらは海兵隊の教官で南米グレナダ攻略作戦へ出兵だ。
本作へと話を戻すと、役者の演技が「あの頃」仕様。ちょっとクサめの青春ブラッド・パック。その辺は計算ずくでヨットクルーズやムキムキ裸のビーチフットホールでキラキラ光線など世代が違うプロデューサーならカットを要求するかも。あの頃こんなんでしたよ、「セント・エルモス・ファイヤー」('85)然り「ストリート・オブ・ファイヤー」('84)然り。バイクで風切って、恋と友情と喧嘩、海と夕陽とビールでしたよ。景気良かったよ。
どっぷりのノスタルジー、不老不死トム・クルーズはイーストウッドのように老骨に鞭打つのではなくあくまで千両役者。シニシズムのかけらも無く、大人の恋も爽やかで。若いパイロットに絶対負けず、敵を倒し部下からは尊敬され、煙たい上官からも「天晴れ」貰って、かつて共に戦った同僚への永遠の友情も篤く。
ニヒリズムをぶっ飛ばせ、過去を悔いるなご同輩、体を鍛えよ、勇気と元気だと。
素直に感動した。トム・クルーズ有難う。'80sにとっては大傑作。