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映画「道草キッチン」2025年11月公開  

「秋が来るとき」監督フランソワ・オゾン at kino cinema 神戸国際

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 フランソワ・オゾン監督、最後に観たのは「すべてうまく行きますように」(2023)で本作「秋が来るとき」まで間二本見逃している。毎年一本の多作ぶりは恐れ入る。

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 ブルゴーニュの秋。ワインは飲んでいてもすぐにこの景色がブルゴーニュとは気が付かない自分の不見識に恥入るが、ここはブルゴーニュらしい。

きのこ狩りの老婦人二人。ミシェル(エレーヌ・バンサン)とマリー=クロード(ジョジアーヌ・バラスコ)はどうやら気の置けない仲良しらしい。

ミシェルの運転でマリー=クロードを刑務所の面会に連れて行く。特に説明がないところがスッキリしている。息子ヴァンサンが何かやらかして入っているらしい。

ミシェルの娘もまた息子ルカを連れて里帰りしても冷たい態度。ルカはお婆ちゃんミシェルに懐いているが、娘は夫婦仲が悪く、金にも困っていてイライラしっぱなし。

ミシェルが先のきのこ狩りで獲ったきのこ料理で事故が起きる。娘が毒きのこに当たってしまって救急搬送。大事には至らなかったものの「殺す気だったの?」と孫を連れて即座にパリに戻る娘。

 

 ここまでだと「美しいブルゴーニュの秋」の家族ドラマなのだが、中盤から彼女達家族の「秘密」が少しずつ露わになってくる。まだこの素敵な映画を観ていない人の為にそれは書かない。予備知識なしに観る方が良い。

 

巷間しばしば用いられる「既得権益」という言葉。

本作に於いて「既得権益」とは「愛してくれる誰かがそばにいてくれる」という事。

言い換えれば「そばにいてくれる誰か」を失うことをミシェルも、ミシェルの孫ルカも、マリー=クロードの前科者の息子ヴァンサンも心底恐れている。

一人ぼっちが何よりも辛いのだ。

そして誰よりも捨て置かれる可能性を認知している少年ルカの生存本能的な賢さが「既得権益」を守る。

いくつかの死が描かれ、その死を巡って「正しい人生とは」が問われる。

ここでは正義の裁きも抵抗勢力となる。いや、人の幸せ、全うする人生って、清濁あるいは正義不正義で諮るものでもないだろうと、この秀逸なオリジナル脚本は問いかける。

佳作、お勧め。