映画和日乗

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「ゼブラーマン」監督・三池崇史 at 三宮東映

めちゃおもしろい。先に言っておくと、これは観ないと損だ。
2010年、息子とうまくコミュニケーションが取れないしがない小学校教師(ご存知哀川翔)が、「趣味」としてゼブラーマンに仮装しているうち、宇宙人に乗り移られてしまった犯罪者達と戦うハメになる…というお話。
「ギャラクシークエスト」('00)あたりがヒントと思しき宮藤官九郎脚本は「GO」('01)以後、食わず嫌いで未見だったが、なるほど防衛庁の秘密捜査官(渡辺篤郎好演)に大学生のようなボキャブラリーで話させたりするアナーキー、小学生を「さん」づけで呼んだりするセンスの良さ、挫折の繰り返しの果てにサクセスをみせていく構成の巧さなどには舌を巻く。
何と言っても哀川翔は立派だ。日本の俳優は伝統的に、三船敏郎高倉健も、何をやっても同じ、というのがスターの定番なのだが、ヤクザもやれば、気弱な教師も、そしてゼブラーマンも演じ分けられるというのは希有の才能である。
そしてゼブラナース鈴木京香のサーヴィスカットありありのステキさに比べれば、「赤い月」の常磐貴子にいかほどの女優根性があるのか伺いたいくらいだ。
大杉漣の教頭先生が○○○(ネタバレなので伏せます)だったことに長らく皆気づかないという不合理はあるが、もはや三池監督以下スタッフ(キャメラ、美術、特撮、編集全部お見事)と役者達がパワー全開で哀川翔の100本記念を盛り上げたいという一丸ベクトルの「気持ちの純粋さ」の前には「全然OK」な気分になってしまった。
とにかく男の子は必見。

ゼブラーマン プレミアムBOX [DVD]

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