映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

映画

「ばるぼら」監督・手塚眞 at 宝塚シネ・ピピア

barbara-themovie.com 製作は2018年、公開が遅れたのはコロナ禍の影響ではなく芸能界の事情だと仄聞した。 手塚監督は私より三歳上、大学在学中にキャンパスでお見かけする事はなかったが「星くず兄弟の伝説」('85)の撮影現場の様子は学生の間で話題だった。…

「キング・オブ・シーヴズ」監督ジェームズ・マーシュ at シネリーブル神戸

www.imdb.comまずはこの記事を。 news.yahoo.co.jp本作はこの事件の映画化。 マイケル・ケインは御歳78歳だがこの映画がつくられたのは3年前の2018年、彼は実際の事件を新聞記事で知って「この話が映画化されたら自分のところにオファーが来るかもと思ったが…

「この世界に残されて」監督トート・バルナバーシュ at テアトル梅田

synca.jp www.imdb.com ハンガリー映画。バルナバーシュ監督は'77年生まれながらキャリアは豊富、プロデューサーや俳優業もこなすようだ。彼のインタビューを読むとハンガリー映画は全て公的資金によって制作されるようだ。 1948年のブダペスト。戦後三年、…

「無頼」監督・井筒和幸 at 第七藝術劇場

twitter.com 戦後間もなくの時代から昭和天皇崩御を経て現代へと西暦年号を記しながら、井藤正治(松本利夫)という人物の来し方をエピソードで繋いでいく構成。 ケネディ暗殺、ベトナム戦争、田中角栄逮捕‥‥時代の移ろいが台詞や小道具で丁寧に示されるのは井…

「ニューヨーク 親切なロシア料理店」監督ロネ・シェルフェグ at シネリーブル神戸

www.imdb.com 邦題は印象をミスリードしている。キャビアの乗ったカナッペ以外ロシア料理は殆ど出て来ない。 監督はデンマーク人で「17歳の肖像」('09)の人。本作では脚本も兼任。 DV夫から二人の息子を抱えて逃げ出したクララ(ゾエ・カザン)。この一文無し…

「日本独立」監督・伊藤俊也 at 大阪ステーションシネマ

nippon-dokuritsu.com 昨年の春、本作の一部分の撮影に立ち会った。 ロケ地は私の母方の実家で、更に奇遇だったのが演出部スタッフが嘗て私と仕事をした事のある親しい助監督だった。そんな訳で真っさらな気持ちでスクリーンに正対するということは出来ない…

「アーニャは、きっと来る」監督ベン・クックソン at 神戸国際松竹

cinerack.jp 先日観たばかりの「エイブのキッチンストーリー」の主役の男の子を演じたノア・シュナップ(2004年生まれ)がNYから南仏ボルドーへ。今度は1942年の羊飼いを演じる。デビュー作はスピルバーグ「ブリッジ・オブ・スパイ」('15)だからサラブレッド、…

「エイブのキッチンストーリー」監督フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ at OSシネマズミント神戸

www.bluefoxentertainment.com 監督はなんとYouTube出身のLA在住ブラジル人、遂にそういう時代が来たという訳だ。 映画の国籍としてはブラジルとアメリカの合作だがモチーフはイスラエル対アラブ。戦争映画ではないが「もしもユダヤ教のママとイスラム教のパ…

「プラスチックの海」監督グレイグ・リーソン at アップリンク京都

www.netflix.com 本作を観終わってからこれがNetflixに既に入っている事を知る。2018年の作品。 映画館で観るには画質が追いついていないフッテージも見受けられた。 とまれ、本作の監督グレイグ・リーソンが少年時代から憧れたクジラの海中撮影から一転、海…

「フェアウェル」監督ルル・ワン at 宝塚シネピピア

www.imdb.com オープニングはNY。猫背でポーカーフェイス、失礼ながら亀のようなずんぐりむっくりのビリー(オークワフィナ)は北京の祖母ナイナイ(チャオ・シューチェン)と携帯電話で近況報告。ナイナイの方は病院で検診を受けているようだ。 幼い頃に北京か…

「海辺の彼女たち」監督・藤元明緒 at TOHOシネマズ六本木ヒルズ

2020.tiff-jp.net TIFFで観たいと思った唯一の日本映画、もといベトナムとの合作。 私もまたアジア圏の国との合作を目指している事から偵察の意味もある。また私の「ママ、ごはんまだ?」が正式出品されたサンセバスチャン国際映画祭に今年本作が出品されてい…

「弱くて強い女たち」監督・許承傑 at TOHOシネマズ六本木ヒルズ

2020.tiff-jp.net開催中の東京国際映画祭でジャパンプレミア、台湾では現在大ヒット上映中。 原題は「孤味」。脚本家出身の許承傑監督はこれがデビュー作。検索してみると2017年に同じタイトル「孤味」で30分の短編をつくっている。 www.imdb.com恐らくこれ…

「罪の声」監督・土井裕泰 at 109シネマズHAT神戸

twitter.com 原作は未読。キネマ旬報11月上旬号の特集によると脚色に当たって幾分設定が変わっているようだ。かのグリコ・森永脅迫事件をモチーフとした書物や映像は沢山あって、幾つかは読んだり観たりしていた。その中の一つ高村薫著「レディ・ジョーカー…

「世にも面白い男の一生 桂春団治」監督・木村惠吾 at 宝塚シネ・ピピア

第21回宝塚映画祭のプログラム。1956年宝塚映画。 プリント状態は良くないが音声は明瞭。 冒頭、出前を運ぶ女の子をキャメラが追う。撮影はかの黒澤明「姿三四郎」('43)のハリー三村こと三村明。何が素晴らしいと言ってこの法善寺のロケセット。続いて出前先…

「スパイの妻」監督・黒沢清 at OSシネマズハーバーランド神戸

wos.bitters.co.jp 太平洋戦争前夜、1940年の神戸の貿易商夫妻の流転を描く。 黒沢清単独の脚本ではなく二人のクリエイターを加えての共作、この点が本作を面白くしている要因だと思う。見慣れた黒沢清タッチではない。 元はNHKによる8Kデジタル撮影作品とし…

「82年生まれ、キム・ジヨン」監督キム・ドヨン at 109シネマズHAT神戸

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』オフィシャルサイト 韓国は戦後の政治のうねりが日本と比べ物にならないくらい激しい。 傑作「はちどり」は否応なく21世紀韓国の災厄によって左右される人々を描いていたし、「パラサイト」でも格差社会の引き金となってい…

「浅田家!」監督・中野量太 at 東宝関西支社試写室

asadake.jp まずこのシンプルなタイトルが良い。最近洋邦問わず内容を説明する副題を付けたがる傾向に辟易している。「ご丁寧」な「低きに流れる」営業戦略は観客のレベルを更に低いところへと落して行くのが歴史の必然である。 貧すれば鈍する、貧しい製作…

「宇宙でいちばんあかるい屋根」監督・藤井直人 at OSシネマズ神戸ハーバーランド

uchu-ichi.jp 原作があるそうだが、映画として特に珍しい話しではないと思う。桃井かおりが出て来たあたりで「アルゼンチンババア」('07)や「東京上空いらっしゃいませ」('90)などをすぐに想起した。 エンドロールで千葉県茂原市と山形県鶴岡市でロケーショ…

「はちどり」監督キム・ポラ at 元町映画館

www.imdb.com ごくたまに好みの映画というのに出くわす。優れた映画、観るべき映画は今でも幾つかあるが、ずっと見つめ続けていたいと思わせる「好きな映画」はもう殆どない。 しかし138分、1994年のひとつの韓国人家庭の日常を描いたこの映画を観終わって、…

「れいこいるか」監督・いまおかしんじ at 元町映画館

reikoiruka.net-broadway.com 日本映画の予告編を見ていてつくづくうんざりするのは泣き叫ぶ女子高生、キレてどなる若者のカットが高い確率で挟まれている事だ。あれは何かお約束で入れなければならないのだろうか。ヒットの要因の一つなのだろうか。そうい…

「なぜ君は総理大臣になれないのか」監督・大島新 at 京都シネマ

www.nazekimi.com 監督・大島新、この映画のタイトルを聞いた時、瞬時に想起したのがこの本のタイトル。 君たちはなぜ、怒らないのか 父・大島渚と50の言葉 [ 大島武 ] 楽天で購入 そう、大島渚の息子としての大島新が兄・武と共に父を語ったこの本のタイト…

「ガーンジー島の読書会の秘密」監督マイク・ニューウェル at パルシネマしんこうえん

dokushokai-movie.com ガーンジー島が英国領なのに何故戦時中はナチスドイツに占領されていたのだろう、と検索してみると地図を見て合点がいった。 An Island of Taxation Relaxation - Parc Forêt at Montrêux かのノルマンディー海岸寄り、つまり英国では…

「カセットテープ・ダイアリーズ」監督グリンダ・チャーダ at シネリーブル神戸

www.imdb.com 「ベッカムに恋して」('02)のグリンダ・チャーダ監督、アフリカ生まれだが名前からしてインド系。英国育ちとのことで本作の原作者とは友人関係だったらしい。映画のラストでこれが実話だという事が分かり、莫大なはずのブルース・スプリングス…

「テルアビブ・オン・ファイア」監督サメフ・ゾアビ at Cinema KOBE

cinemakobe.jimdofree.com テルアビブ・オン・ファイア(字幕版) 発売日: 2020/07/03 メディア: Prime Video www.artemisproductions.com いきなりコテコテなアラブ調の音楽に乗ったテレビドラマから始まる。時代は1967年、第三次中東戦争直前らしい。 ja.wik…

「悪人伝」監督イ・ウォンテ at 神戸国際松竹

klockworx-asia.com 英語タイトルがエンドクレジットに出て来るが"The Gangstar,The Cop,The Devil"でヤクザと刑事と悪魔。ヤクザ=チャン・ドンスを演じるマ・ドンソクありきの企画であることは自明。観客はいつドンソク兄貴の殺人張り手が炸裂するか、期待…

「一度も撃ってません」監督・阪本順治 at 神戸国際松竹

eiga-ichidomo.com 観終わって、滅多に買わないパンフレットを買った。 もしかして脚本の丸山昇一氏が何か書いていないか、と思ったからだ。案の定ロングインタビューが載っていて、本作は随分以前に石橋蓮司主演作として書かれたものを進化させたものだと分…

「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」監督ウディ・アレン at シネリーブル神戸

www.imdb.com 原題にはAが付く。つまり一日の話。厳密には一晩を跨ぐ二日間。 NYが舞台で一日の話は他にも「アフター・アワーズ」('85)「ジャグラー・ニューヨーク25時」('80)なんてのもあった。「ジャグラー」はソフト化を強く望む。 さて本作、始まってす…

「ペイン・アンド・グローリー」監督ペドロ・アルモドバル at TOHOシネマズ西宮OS

www.imdb.com アルモドバルの作品は随分敬遠して来た。最後に観たのは2007年の「ポルベール」だ。 mitts.hatenadiary.jp 久しぶりに観ようと思ったのは、アルモドバル自身を彷彿とさせる映画監督が主人公だと知ったからだ。「81/2」('63)なのだろうな、と。…

「その手に触れるまで」監督ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ at シネリーブル神戸

www.imdb.com 出来るだけその新作を公開初日に劇場に駆けつける事にしている監督はイーストウッドとこのダルデンヌ兄弟だけだ。かつてはフランソワ・オゾンもそうだったが、最近はそうでもない。あと一人、奇跡が起きて長谷川和彦が新作を作ったら話は別だが…

「最高殊勲夫人」監督・増村保造 at シネヌーヴォ

最高殊勲夫人 [ 若尾文子 ]価格: 2200 円楽天で詳細を見る シネヌーヴォで開催中の若尾文子映画祭の一本。 cinemakadokawa.jp1959年大映。今はKADOKAWAが権利を持っていて、デジタルリマスターDCP上映、画質音声共に良好。 本作の脚本を書いた白坂依志夫著「…