映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

映画

「ミナリ」監督リー・アイザック・チョン at シネリーブル神戸

www.imdb.com 韓国人移民一家による西部開拓史。もっとも本作の舞台はアーカンソー州とのことで、南部だが。 テレビのデザインとそこに映っている韓国の映像から時代を推察するしかないが、1980年代だと思われる。携帯電話は出て来ない。 観賞後に腑に落ちて…

「ゴジラ vs コング」監督アダム・ウィンガード at 東宝マーケティング関西営業所試写室

www.imdb.com 上映前に東宝宣伝部の方から「映画中盤以降のネタバレ禁止」のお達しが。 映画が始まるといや確かにそれは公開前に言わない方が良いだろうという展開。しかし検索してみるとバレてますな。 僕らの世代はキングコングといえば1976年のジョン・ギ…

「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」監督トッド・ロビンソン at 塚口サンサン劇場

www.thelastfullmeasurefilm.com Full Measure は「完全なる対価」とでも訳すか。新約聖書にもしばしば使われているようで、神を信仰することで与えられる完全なる対価が幸福だとすれば、ここでは一人の兵士が国家に殉じた事への完全なる対価を問うている。 …

「痛くない死に方」監督・高橋伴明 at 神戸国際松竹

itakunaishinikata.com タイトルの「痛くない死に方」というのは、終末期の患者側の意思ではなく、看護している家族側の心の叫びであることがこの映画を観ている途中で分かる。 そしてその心の叫びに気がつかなかった医師河田(柄本佑)は先輩医師(奥田瑛二)の…

「世界で一番しあわせな食堂」監督ミカ・カウリスマキ at 神戸国際松竹

www.imdb.com 映画『世界で一番しあわせな食堂』 公式サイト フィンランドと中国の合作。 原題「MESTERI CHENG」は英語だとMaster Cheng、チェン師匠かな。 フィンランドの田舎町の食堂が舞台。 シルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)が営む食堂で朝からビール…

「ヤクザと家族 The Family」監督・藤井直人 at 109シネマズHAT神戸

www.yakuzatokazoku.com 身も蓋もないタイトルと取るか修飾を嫌ったストレートと取るか。 さる米国資本の動画配信会社勤務の人によると、コンテンツとして日本映画に求められるジャンルはヤクザとポルノとのことだ。これは私が直接聞いた話だ。 ポルノをAVと…

「聖なる犯罪者」監督ヤン・コマサ at 新宿武蔵野館

映画『聖なる犯罪者』公式サイト www.imdb.com ポーランド映画、原題は直訳では神の体、だが「聖体の祝日」の意。 聖体の祝日 - Wikipedia 映画が始まってフレームがシネスコ、少年院の作業室の縦横にぴったりと収まっていて、続く礼拝室もまたそうなってい…

「声優夫婦の甘くない生活」監督エフゲニー・ルーマン at 塚口サンサン劇場

www.imdb.comエフゲニー・ルーマン監督は1979年ミンスクの生まれ。 本作と同じ様に1990年に旧ソ連からイスラエルに移住したとのこと。ということは当時11歳だったという訳だ。 旧ソ連在住のユダヤ人のイスラエルへの「帰還」には背景がある↓ https://www.jnp…

「KCIA 南山の部長たち」監督ウ・ミンホ at 神戸国際松竹

klockworx-asia.com 映画冒頭、事実に基づいたフィクション、と但し書きが出るが、1979年の朴正煕暗殺事件を巡る政治ドラマ。ぼんやりと知っていた程度の事件だが、映画の最後に出て来る実際の現場検証の写真は記憶していた。↓これ president.jp 1961年の大…

「燃ゆる女の肖像」監督セリーヌ・シアマ at 宝塚シネ・ピピア

www.imdb.com フランス語が聴こえるが、そこがどこかなのか場所は分からない、いつの時代なのかも正確には分からない。 島を目指す小舟に乗った女性マリアンヌ(ノエミ・メルラン)が海に落としてしまったキャンバスを追ってザブンと海に飛び込む。この女性の…

「なんのちゃんの第二次世界大戦」監督・河合健 at 洲本オリオン

nannochan.com嘗て教えていた大学の卒業制作発表でお世話になった洲本オリオンが、自ら製作に参加した映画を上映していると知って駆けつける。オール淡路島ロケ。 白羽ゼミ5期生卒業制作作品「あすなろ家族」淡路島上映会 at 洲本オリオン - 映画的日乗 吹越…

「ばるぼら」監督・手塚眞 at 宝塚シネ・ピピア

barbara-themovie.com 製作は2018年、公開が遅れたのはコロナ禍の影響ではなく芸能界の事情だと仄聞した。 手塚監督は私より三歳上、大学在学中にキャンパスでお見かけする事はなかったが「星くず兄弟の伝説」('85)の撮影現場の様子は学生の間で話題だった。…

「キング・オブ・シーヴズ」監督ジェームズ・マーシュ at シネリーブル神戸

www.imdb.comまずはこの記事を。 news.yahoo.co.jp本作はこの事件の映画化。 マイケル・ケインは御歳78歳だがこの映画がつくられたのは3年前の2018年、彼は実際の事件を新聞記事で知って「この話が映画化されたら自分のところにオファーが来るかもと思ったが…

「この世界に残されて」監督トート・バルナバーシュ at テアトル梅田

synca.jp www.imdb.com ハンガリー映画。バルナバーシュ監督は'77年生まれながらキャリアは豊富、プロデューサーや俳優業もこなすようだ。彼のインタビューを読むとハンガリー映画は全て公的資金によって制作されるらしい。 1948年のブダペスト。戦後三年、…

「無頼」監督・井筒和幸 at 第七藝術劇場

twitter.com 戦後間もなくの時代から昭和天皇崩御を経て現代へと西暦年号を記しながら、井藤正治(松本利夫)という人物の来し方をエピソードで繋いでいく構成。 ケネディ暗殺、ベトナム戦争、田中角栄逮捕‥‥時代の移ろいが台詞や小道具で丁寧に示されるのは井…

「ニューヨーク 親切なロシア料理店」監督ロネ・シェルフェグ at シネリーブル神戸

www.imdb.com 邦題は印象をミスリードしている。キャビアの乗ったカナッペ以外ロシア料理は殆ど出て来ない。 監督はデンマーク人で「17歳の肖像」('09)の人。本作では脚本も兼任。 DV夫から二人の息子を抱えて逃げ出したクララ(ゾエ・カザン)。この一文無し…

「日本独立」監督・伊藤俊也 at 大阪ステーションシネマ

nippon-dokuritsu.com 昨年の春、本作の一部分の撮影に立ち会った。 ロケ地は私の母方の実家で、更に奇遇だったのが演出部スタッフが嘗て私と仕事をした事のある親しい助監督だった。そんな訳で真っさらな気持ちでスクリーンに正対するということは出来ない…

「アーニャは、きっと来る」監督ベン・クックソン at 神戸国際松竹

cinerack.jp 先日観たばかりの「エイブのキッチンストーリー」の主役の男の子を演じたノア・シュナップ(2004年生まれ)がNYから南仏ボルドーへ。今度は1942年の羊飼いを演じる。デビュー作はスピルバーグ「ブリッジ・オブ・スパイ」('15)だからサラブレッド、…

「エイブのキッチンストーリー」監督フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ at OSシネマズミント神戸

www.bluefoxentertainment.com 監督はなんとYouTube出身のLA在住ブラジル人、遂にそういう時代が来たという訳だ。 映画の国籍としてはブラジルとアメリカの合作だがモチーフはイスラエル対アラブ。戦争映画ではないが「もしもユダヤ教のママとイスラム教のパ…

「プラスチックの海」監督グレイグ・リーソン at アップリンク京都

www.netflix.com 本作を観終わってからこれがNetflixに既に入っている事を知る。2018年の作品。 映画館で観るには画質が追いついていないフッテージも見受けられた。 とまれ、本作の監督グレイグ・リーソンが少年時代から憧れたクジラの海中撮影から一転、海…

「フェアウェル」監督ルル・ワン at 宝塚シネピピア

www.imdb.com オープニングはNY。猫背でポーカーフェイス、失礼ながら亀のようなずんぐりむっくりのビリー(オークワフィナ)は北京の祖母ナイナイ(チャオ・シューチェン)と携帯電話で近況報告。ナイナイの方は病院で検診を受けているようだ。 幼い頃に北京か…

「海辺の彼女たち」監督・藤元明緒 at TOHOシネマズ六本木ヒルズ

2020.tiff-jp.net TIFFで観たいと思った唯一の日本映画、もといベトナムとの合作。 私もまたアジア圏の国との合作を目指している事から偵察の意味もある。また私の「ママ、ごはんまだ?」が正式出品されたサンセバスチャン国際映画祭に今年本作が出品されてい…

「弱くて強い女たち」監督・許承傑 at TOHOシネマズ六本木ヒルズ

2020.tiff-jp.net開催中の東京国際映画祭でジャパンプレミア、台湾では現在大ヒット上映中。 原題は「孤味」。脚本家出身の許承傑監督はこれがデビュー作。検索してみると2017年に同じタイトル「孤味」で30分の短編をつくっている。 www.imdb.com恐らくこれ…

「罪の声」監督・土井裕泰 at 109シネマズHAT神戸

twitter.com 原作は未読。キネマ旬報11月上旬号の特集によると脚色に当たって幾分設定が変わっているようだ。かのグリコ・森永脅迫事件をモチーフとした書物や映像は沢山あって、幾つかは読んだり観たりしていた。その中の一つ高村薫著「レディ・ジョーカー…

「世にも面白い男の一生 桂春団治」監督・木村惠吾 at 宝塚シネ・ピピア

第21回宝塚映画祭のプログラム。1956年宝塚映画。 プリント状態は良くないが音声は明瞭。 冒頭、出前を運ぶ女の子をキャメラが追う。撮影はかの黒澤明「姿三四郎」('43)のハリー三村こと三村明。何が素晴らしいと言ってこの法善寺のロケセット。続いて出前先…

「スパイの妻」監督・黒沢清 at OSシネマズハーバーランド神戸

wos.bitters.co.jp 太平洋戦争前夜、1940年の神戸の貿易商夫妻の流転を描く。 黒沢清単独の脚本ではなく二人のクリエイターを加えての共作、この点が本作を面白くしている要因だと思う。見慣れた黒沢清タッチではない。 元はNHKによる8Kデジタル撮影作品とし…

「82年生まれ、キム・ジヨン」監督キム・ドヨン at 109シネマズHAT神戸

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』オフィシャルサイト 韓国は戦後の政治のうねりが日本と比べ物にならないくらい激しい。 傑作「はちどり」は否応なく21世紀韓国の災厄によって左右される人々を描いていたし、「パラサイト」でも格差社会の引き金となってい…

「浅田家!」監督・中野量太 at 東宝関西支社試写室

asadake.jp まずこのシンプルなタイトルが良い。最近洋邦問わず内容を説明する副題を付けたがる傾向に辟易している。「ご丁寧」な「低きに流れる」営業戦略は観客のレベルを更に低いところへと落して行くのが歴史の必然である。 貧すれば鈍する、貧しい製作…

「宇宙でいちばんあかるい屋根」監督・藤井直人 at OSシネマズ神戸ハーバーランド

uchu-ichi.jp 原作があるそうだが、映画として特に珍しい話しではないと思う。桃井かおりが出て来たあたりで「アルゼンチンババア」('07)や「東京上空いらっしゃいませ」('90)などをすぐに想起した。 エンドロールで千葉県茂原市と山形県鶴岡市でロケーショ…

「はちどり」監督キム・ポラ at 元町映画館

www.imdb.com ごくたまに好みの映画というのに出くわす。優れた映画、観るべき映画は今でも幾つかあるが、ずっと見つめ続けていたいと思わせる「好きな映画」はもう殆どない。 しかし138分、1994年のひとつの韓国人家庭の日常を描いたこの映画を観終わって、…