映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

映画

「ヘルドッグス」監督・原田眞人 at 109シネマズHAT神戸

www.helldogs.jp 畏兄原田眞人監督最新作。 既にこの次の作品が仕上がっていて、その撮影現場には顔を出させて貰った。本作を観て思うのは、私より15歳年上の原田さん、何でこんなに元気なんだろ、ということだ。 原作は深町秋生の同名小説。 ヘルドッグス …

「彼女のいない部屋」監督マチュー・アマルリック at シネリーブル神戸

www.imdb.com 俳優としてのアマルリックは知性と茶目っ気が同居しているような魅力があり、ずっとご贔屓なのだが、本作は監督としての長編6作目。原作は戯曲だそうで、脚本はアマルリックが兼任している。 原題は英訳で"Hold Me Tight"、私を抱きしめて、だ…

「ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言」監督ルーク・ホランド at シネリーブル神戸

www.focusfeatures.com 監督のルーク・ホランドは本作の完成後2020年に死去。IMDbのデータベースによると一貫してナチスの過去を追う作品がフィルモグラフィに並ぶ。 9時間余の気の遠くなる程の労作「ショアー」(1997)の中に、強制収容所の看守が、大量殺戮…

「モガディシュ 脱出までの14日間」監督リュ・スンワン at 角川シネマ有楽町

mogadishu-movie.com www.imdb.com ソマリア内戦というと直ぐに思い出すのがリドリー・スコットの「ブラックホーク・ダウン」(2001)だ。 ブラックホーク・ダウン (字幕版) ジョシュ・ハートネット Amazon モガディシュの戦闘 - Wikipedia キネマ旬報7月下旬…

「三姉妹」監督イ・スンウォン at シネマート心斎橋

www.zaziefilms.com 三姉妹、それぞれの家族に向かうはずの愛のベクトルが違う方向に向けられている。 長女ヒスク(キム・ソニョン)は常に卑屈で娘の言いなり、次女ミヨン(ムン・ソリ、凄まじい好演)はキリスト教から派生した韓国独自の宗派に傾倒、三女ミオ…

「ベイビー・ブローカー」監督・是枝裕和 at 109シネマズHAT神戸

gaga.ne.jp Broker (2022) - IMDb 英語タイトルは「Broker」。 是枝作品は所々未見のものがあり、前作「真実」(2019)も見逃している。 それでもこの監督が「家族ならざる家族」というか、かつて小津や山田洋次が描いて来た血縁のみによる家族像から離れて行…

「リコリス・ピザ」監督ポール・トーマス・アンダーソン at シネリーブル神戸

www.imdb.com P.T.アンダーソンの傑作「ブギーナイツ」('97)は大好きでいまだにDVDで見直す。本作は「ブギーナイツ」の時代設定、1970年代末より少し前、1973年の物語。 15歳と25歳の恋、ストーリーはどうと言うことはなく、細部と時代の再現度を楽しむつく…

「PLAN75」監督・早川千絵 at 大阪ステーションシネマ

happinet-phantom.com ピントが合っていない画から始まる。即座にその不穏な影の動きから無差別殺人が起きたことが読み取れ、老人が殺されたことが顕在する。 ラジオやテレビの音声を際立たせたり、恐らく偶然画角に入ったのであろう灯油販売のセールステー…

「マイスモールランド」監督・川和田恵真 at 新宿ピカデリー

mysmallland.jp 埼玉県川口市が舞台。 コインランドリー店の2階に住むクルド人家族。ストーリーはサーリャ(嵐莉菜)の高校生活を中心に進んで行く。成績優秀、友達もいるサーリャだが空気を読んで場に合わせている事が見えて来る。 日本語とトルコ語が話せる…

「義足のボクサー」監督ブリランテ・メンドーサ at 大阪ステーションシネマ

gisokuboxer.ayapro.ne.jp 3年前「みとりし」のプロモーションで渋谷のコミュニティラジオに出演した時、仁科貴氏に紹介して貰ったのが本作主演の尚玄氏だった。 「渋谷のラジオ」出演 - 映画和日乗 この時、これからフィリピンで映画を撮る、という話しを彼…

「トップガン マーヴェリック」監督ジョセフ・コシンスキー at TOHOシネマズ新宿

www.imdb.com 2019年7月の記事 www.cnn.co.jp そして2022年6月の記事 www.cinematoday.jp トランプ政権下で制作されバイデン政権下で公開されたこの映画。 トップガンチームの一員にアジア系が一人いるのが確認できるがストーリーには全く絡まず、中盤以降は…

「ちょっと思い出しただけ」監督・松井大悟 at 出町座

映画『ちょっと思い出しただけ』オフィシャルサイト 2022年2/11公開 ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」('91)が下敷きになっているようで、本編にも池松壮亮演じる元ダンサー(それは物語を追って行くうちに分かる)で照明技師が自室でこれを観…

「20歳のソウル」監督・秋山純 at OSシネマズハーバーランド神戸

映画『20歳のソウル』 | 大ヒット公開中! 普段は観ないジャンルの映画だが、急遽キャストのチェックの必要があって公開初日に駆け付ける。 実話がベースとのこと、船橋の高校の校舎からのオープニングはテンポよく人物紹介、青空がより蒼く強調され、映画的…

「アネット」監督レオス・カラックス at 塚口サンサン劇場

www.annettethefilm.com さほど熱心にカラックスの作品を追って観てはいないが、強烈な作家主体の映画がほとんど生まれない現在、この新作は観なければと思っていた。 観終わってから「映画芸術」2022年春号の特集を読むと制作の過程がよく分かった。堀越謙…

「再会の奈良」監督ポン・フェイ at 宝塚シネ・ピピア

映画『再会の奈良』公式サイト 奈良県御所市を舞台に、日本に帰国した中国残留孤児の消息を尋ねる養母と彼女を助ける地元の人々のお話し。 悲痛な孤児の来歴をアニメでさっぱりと説明して、来日した養母のどこかのほほんとした過ごし方を丁寧に見せて行く。 …

「ツユクサ」監督・平山秀幸 at テアトル梅田

tsuyukusa-movie.jp 安倍照雄のオリジナル脚本。映画化実現に十年かかったという。 疫病と戦争、格差と分断のいま、こういうこころに潤いを与える映画が公開されているのは何はともあれ良いタイミングだと思う。GW中、水曜サービスデーでテアトル梅田昼の上…

「親愛なる同志たちへ」監督アンドレイ・コンチャロフスキー at シネリーブル神戸

www.imdb.com 観終わって、滅多に買わないパンフレットを求めた。ここで描かれるノヴォチェルカッスク事件について背景を知りたかったからだ。 jp.rbth.com ノヴォチェルカッスクはGoogleの地図で見ると、今世界中の耳目を集めるマウリポリから東へ直線距離2…

「クレッシェンド 音楽の架け橋」監督ドロール・ザハヴィ at 塚口サンサン劇場

Crescendo – #MAKEMUSICNOTWAR このドイツ語によるオフィシャルサイトのハッシュタグが印象的。#makemusicnotwar 映画自体は2019年のドイツ映画だが、このハッシュタグをtwitterで検索すると今は殆どウクライナ戦争に関するツィートになる。 このサイトが映…

「アイダよ、何処へ?」監督ヤスミラ・ジュバニッチ at パルシネマしんこうえん

aida-movie.com NHKの伝説的ドキュメンタリーシリーズ「映像の世紀」の中にクロアチア人によるセルビア人処刑の映像があったことを鮮烈に記憶している。 NHKスペシャル デジタルリマスター版 映像の世紀 ブルーレイBOX【Blu-ray】 [ (ドキュメンタリー) ]価…

「偶然と想像」監督・濱口竜介 at シネヌーヴォX

guzen-sozo.incline.life 時の人、濱口監督の目下のところ最新作。 画面の遠景にマスクをしている人が見切れているので最近の撮影だろう。 いっとき、30年前くらいか、お金もない、アクションは撮影の制約も多い(都内でほとんど撮影許可が下りない)日本映画…

「ブラックボックス 音声分析捜査」監督ヤン・ゴズラン at 塚口サンサン劇場

bb-movie.jp よく出来た脚本なので航空機の専門家による原作があるのだろうかと思ったらオリジナル脚本のようだ。クレジットには監督を含め4人の名前。かつての黒澤明方式なのか、と想像してしまうくらいキャラクターが際立っていて、先が読めそうで読めない…

「ナイトメア・アリー」監督ギジェルモ・デル・トロ at TOHOシネマズ西宮OS

www.searchlightpictures.com 布で包まれた死体と思しき物体を引き摺る男、床下に沈めそれに火を放つ。一気に物語に引き込み、観客の意識を集中させる巧なイントロダクションに胸躍る。そして降り続く夜の雨、クラシックなフィルム・ノワールの匂いがむせ返…

「遠くを見てみた」完成披露試写会&記念お笑いライブ in 津幡町文化会館「シグナス」

note.com 嬉野智裕監督は私の「ママ、ごはんまだ?」のスタッフの一人であり、本作の制作過程も聞いていたし、また既知の俳優も出演しているので客観的な感想を述べ難い。 また、終映後監督と話したが編集や音響の作業は未完成だとのこと。ひとつ言えるのが、…

「ベルファスト」監督ケネス・ブラナー at シネリーブル神戸

www.focusfeatures.com 現在の北アイルランド、ベルファストのドローン撮影から1969年へと遡り、カラーからモノクロへと転換される。 なんとなく知っていることではあるが、これを読んでおさらい。 これから映画を観る人には予習になるだろう。 ja.wikipedia…

「修行」監督・錢翔 at シネリーブル梅田

第17回大阪アジアン映画祭「台湾:電影ルネサンス2022」の一本。 www.oaff.jp 監督の錢翔は前作「廻光奏鳴曲」(2014)で名を馳せ、主演した陳湘琪は金馬奨主演女優賞受賞。 www.youtube.com 7年ぶりの新作となった「修行」でもこの陳湘琪が冷め切った夫婦関係…

「コレクティブ 国家の嘘」監督アレクサンダー・ナナウ at パルシネマしんこうえん

www.collectivemovie.com transformer.co.jp 2015年ルーマニアの首都ブカレストのライヴハウス火災に端を発する不正医療事件を追うドキュメンタリー。 ライヴハウスの中にいた人が撮った火災発生の映像が衝撃的だが、問題は被災者の治療にあった。 ルーマニ…

「CODA あいのうた」監督シアン・ヘダー at TOHOシネマズ西宮OS

www.imdb.com 2015年公開のフランス映画「エール!」の米国リメイク。 www.imdb.com こちらは未見だが、近いうち何らかの形で観たいと思う。 ボストン郊外の漁港の町が舞台。ロッシ一家は漁業が生業。 どこだろう、と検索してみるとマサチューセッツ湾ではタ…

「白いトリュフの宿る森」監督マイケル・ドウェック&グレゴリー・カーショウ at シネリーブル神戸

www.sonyclassics.com イタリア北部ピエモンテ州のトリュフ採りプロフェッショナルを追ったドキュメンタリー。 原題は邦題ほどロマンティックではなくズバリ"The Truffle Hunters"、監督はアメリカ人の様だ。 冒頭の美しく紅葉した森を俯瞰で捉える映像から…

「ウエスト・サイド・ストーリー」監督スティーヴン・スピルバーグ at OSシネマズミント神戸

www.20thcenturystudios.com 思えばスピルバーグという人はデビュー作以来過去の名作のアップデートまたはコンバートの天才であった。 「激突!」('71)「JAWS」('75)はヒッチコック、「未知との遭遇」('77)は旧約聖書、「プライベート・ライアン」('98)は「史…

「ハウス・オブ・グッチ」監督リドリー・スコット at TOHOシネマズ西宮OS

Universal Pictures UK 誰もが知る名門ブランド・グッチ家に入り込んだ一匹の蛇がのたうち回って破壊して行く物語。 フィレンツェ、ローマ、NYの豪邸という素晴らしきロケーションで展開される無能と成り上がり、下衆の末路。事実を下敷きにしている為、どん…