映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「桐島です」監督・高橋伴明 at 第七藝術劇場

映画『「桐島です」』公式サイト

 

 エンドロールに参考文献として挙げられている「狼煙を見よ」は随分以前に読んでいたが本編を見ている間に内容を思い出した。というか、本編前半部分の描写とほぼ一致していたと思う。

 

 

 本作は爆破テロ事件後の桐島の日々が淡々と描かれる。三菱重工本社爆破事件には直接関わっていないとはいえ、工務店への出勤、勤務後の銭湯、ライブハウスでの一杯、淡い恋も仲間とのボーリングも加害意識が薄れてどこか幸せに見えてしまう危険を孕んでいる。むしろ工務店の同僚やアパートの隣人の奇人ぶりが客観的に描かれていて、可笑しい。

河島英五の「時代おくれ」が若い女性の歌声で何度かリフレインし、桐島本人の心情とシンクロする。が、どこかそれも美し過ぎる嫌いがある。

もう確信犯的に彼らとその世代に寄り添っているのが潔い。21世紀に入ってからの描写で世代間ギャップの代表のような若者が出て来て観る者の断絶感を煽る。

 後半桐島が倒れて入院した後のエピソードでこのムカつく若者に「成長」を感じさせる描き方に安堵した。が、それも束の間'70sに「逆戻り」するラストを持って来る高橋伴明。師匠格の若松孝二が何度かやった「ラストはパレスチナと連帯」に寄り添う。

 

 

読売テレビ番組審議会

番組審議会報告|番組向上への取り組み|読売テレビ

 

今月はヴィーガン弁当ではなかった。ホテルニューオータニ大阪謹製。

右手前は多分アジフライ。左手前はカレー。昔ながらの味わいの和風カレー。

元気の良い若いディレクターと話す。次はこんな事がやりたい、とモチベーションがあって頼もしかった。

「罪人たち」監督ライアン・クーグラー at シネリーブル神戸

Sinners | Official Movie Site

 

 監督は「クリード チャンプを継ぐ男」(2016)の人、ただそれ以降の「ブラックパンサー」シリーズは未見。

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 出自にこだわる作風という点ではスパイク・リーよりはセンスが良いと思う。スパイク・リーNetflixで見た「ザ・ファイブ・ブラッズ」が下品だった。

 開巻、シネスコサイズで1930年代のミシシッピー。黒人貧困層が働かされている綿畑は「夜の大捜査線」('67)でも「グリーンブック」(2018)にも登場した黒人差別のアイコンでもある。

さて本作は彼らを横目にしつつ暴力でのし上がるヤクザ兄弟、禁酒法時代に廃工場を買い取って地下酒場をオープンさせようというお話し。

ところどころゾンビが映るフラッシュバックがありどう伏線回収するのかと観ていたらブラック・スプロイテーションからゾンビホラーへとジャンル横断。

 

 個人的嗜好で言うと、ゾンビとか吸血ホラーにまるで食指が動かない。ジャームッシュの「デッド・ドント・ダイ」(2019)も全く乗れなかった。

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 穿った見方をすると、黒人のソウル、ブルースの真の音を探す旅、そしてKKKとの対決というクラシックなロードムービースタイル、あるいはBテイストのアクション映画では企画が通らなかったのかも。

歌や演奏、ダンスのミュージカルセンスは良いのに、なんともはや。

KKKをトミーガンでバリバリやっつける後半戦、これがやりたいクライマックスだったのだろう、そこは突き抜けている。ハル・アシュビージョン・ミリアスウォルター・ヒルは時代が味方をしていたのか。

 

第3回ダナンアジア映画祭閉会式

 

 

 

アジア・コンペティション門主演男優賞プレゼンターの大役を務めた中江有里さんと共に授賞式終了後ダナン国際空港よりVN318便で翌6日成田空港着。

ダナン国際空港でのVIP待遇に一同感激大感謝。