映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「誰よりも狙われた男」監督アントン・コービン at TOHOシネマズシャンテ

フィリップ・シーモア・ホフマンの映画作品での遺作らしい。
原作はジョン・ル・カレ、本作ではプロデューサーも兼任。
舞台はドイツ、ハンブルク。諜報機関テロ対策室のバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)はキプロス籍貨物船が「抜け荷」をしているという情報から、アラブ系の篤志家がイスラム圏での人道支援への寄付金の一部をテロ組織の資金として流用しているのではないかという疑惑を抱き、捜査を進めていた。アルコールと煙草が手放せない、ヨレヨレしているが頭脳は明晰なバッハマンは過去にCIAの横やりで作戦失敗、ベルリン本部からハンブルクにトバされていたのだった。折しもロシアからトルコ経由でテロリストの疑いのあるチェチェン人がハンブルクに潜入したという情報がもたらされる。そのチェチェン人は何故かある銀行家にコンタクトを求めていた。左派系の弁護士がその仲介を買って出るが、チェチェン人の父親名義の莫大な資産が銀行に眠っていることが判明。この情報を掴んだバッハマンは一計を案じる…というお話。
サスペンスフルな展開を抑止し、欧米対イスラム圏の血の応酬を諌める展開が新味。バッハマンの緻密だが運が左右するであろう計画が巧く行けば行く程、映画を見慣れた私には「何かが起きるはず」とかえってサスペンスフルだった。結末をここで述べる訳にはいかないが、「いまそこにある危機」の現実を物語っている。役者は全員素晴らしい。佳作、お勧め。