映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「フューリー」デイヴィッド・エアー at TOHOシネマズ渋谷

表現としてのWWIIものの決定版であり、それ以後のハードルとなった「プライベート・ライアン」('98)をさて、越えられるのかという見方で臨んだが、結論から言うとかの戦争から時代が遠のけば遠のくほど表現の可能性が広がったのだなと得心した。1945年に終結した彼の戦争から今日に至るまで夥しい数のそれらがつくられて来た。少なからず見て来た者として、表現が躊躇われたか封印されたかはいざ知らず、時代が近ければ近いほど無慈悲極まりない戦場の再現は「時の経過」を必要としたのだと思い至る。「バルジ大作戦」('65)「史上最大の作戦」('62)…'60年代のハリウッド戦争大作はこの「フューリー」の前には牧歌的でさえある。
佳作、お勧め。