映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「密偵」監督キム・ジウン at シネリーブル神戸

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1920年代、日本統治下の韓国京城(現ソウル)が舞台。

朝鮮総督府の警察官僚として韓国の独立運動組織義烈団の摘発に当たるイ(ソン・ガンホ)、その上官東(鶴見辰吾)はイに義烈団の爆弾テロを未然に防ぐ捜査に当たらせるにあたり、もう一人の腹心の部下ハシモト(オム・テグ)を付ける。イとハシモトは競うように組織の摘発に向かうが、イは義烈団のメンバーの一人キム・ウジン(コン・ユ)と知り合い、爆弾を調達しているハンガリーアナキストがいると言う情報を得て、彼に招かれるようにして上海へと渡る。そこで期せずして義烈団のボス(イ・ビョンホン)に会うことになる。そして彼らは日本の手先であるイを抱き込もうとする‥‥というお話し。

既にハリウッドでの経験もあるキム・ジウン監督のサスペンス演出に刮目、何と言っても政治か愛国心かで葛藤しながらダブルスパイとなるソン・ガンホの演技が素晴らしい。その対抗馬オム・テグのもはやナニ人かわからない不気味な存在感にも目を見張る。ベースとしてはメルヴィルの「影の軍隊」('69)だろう、これに思いっきりタランティーノ風味を加えて、後半の白樺林の掃討はベルトルッチの「暗殺の森」('70)へのオマージュと相当にシネフィルな監督、その原典に気がつく私と同い年と知って得心が行く。ロケセットの豪華さには海を挟んで彼我の格差に嘆息。

佳作、お勧め。