映画的日乗

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「真昼の罠」監督・富本壮吉 at シネマヴェーラ渋谷

 

真昼の罠 [DVD]

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真昼の罠 (1971年) (新潮文庫)

真昼の罠 (1971年) (新潮文庫)

 

  1962年大映作品。

 のちにテレビの2時間ドラマの監督に転じる富本監督、その原型のようなサスペンスドラマ。

 金属を扱う企業の苛烈な出世競争に女医殺人事件が絡む。暗躍する経済界フィクサー、モテまくる主人公。'60年代の若者を主人公とした階級闘争ニヒリズムに満ちた青春映画ばかり観てきて、同時代にアッパーの企業社会はこういう世界だったのかと窺い知る。明確に勝ち組を誇るようなオープニングのナレーション、田宮二郎は女を性欲のはけ口か出世の道具、はたまた金づるとしか考えていない。また女の方も札びら切られるとすぐに寝返る、嘘もつくタフネス。大金を稼がせてもらった女医は指南役の不動産屋を集金マシンとしか思っていない。そこに金を借りに来る会社の重役たち。愛のカケラもない世界、誰にも感情移入出来ないのは確信犯的演出。ラスト犯人が捕まって、さてこの愛のない世界にどう決着つけるのかと思ったら、愛を信じてみようと丸の内のビルの谷間でフィクサーの元愛人と手を繋ぐ田宮二郎。89分、お代分は楽しめた。