映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ミスティック・リバー」監督クリント・イーストウッド at MOVIX六甲

あの時、ボールが排水溝に落ちなければ、3人の少年の運命は違ったものになったかも知れない…デニス・ルベインのミステリーが原作。
深い心の傷を負った3人の少年は、後年、そのうちの一人の19歳になる娘が惨殺されたことによって再会する…名作「許されざる者」('92)に於いて、聖と邪、正義と悪という二分法に異議を唱え、大悪党の聖なる復讐というテーマを描ききったイーストウッドは、ここでも更に聖と邪の混然を見事に見せつける。
ショーン・ペンが扮する娘を殺された父親は、単なる可哀想な被害者には描かれず、また一見、けなげに見える人々も、ケビン・ベーコン扮する怜悧に見えた刑事もまた…。
重い、辛い物語であり、人間の愚かさを見せつけられ暗澹たる
気分になるが、凡百の「アメリカの正義」を描くハリウッド映画を遥か足下に置く真実の傑作。
イーストウッドは音楽も兼任、その才覚には脱帽、最敬礼。Must See.


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