映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ジョゼと虎と魚たち」監督・犬童一心 at シネリーブル神戸

田辺聖子の同名小説の映画化。
麻雀屋でアルバイトする大学生(またまた妻夫木聡)が、ひょんなきっかけで乳母車に乗せられている足の不自由な女(池脇千鶴)と出会い、やがて同棲するようになる…出会い、解り合い、やがて別れるというルーティンを、体温を感じさせる繊細な映像設計で飽きることなく観ていられる。
屈託がなく、健康的なスケベである妻夫木以外は、孤独に慣れてしまってそれを住処にしてしまっている人々を配置するという対比も巧い。女性の書き手(脚本・渡辺あや)の視線も、妻夫木をある種の理想的な男として見つめており、演出がいやみなくすくいあげている。
佳い映画だが、気になったことをひとつ。
映画の冒頭、妻夫木と池脇の出会いのシーンで、「世田谷区」というレッテルが見える。次のシーンで「03」から始まる電話番号が書かれたサラ金の看板が見える。
ところが、別のカットでわかり易く「寝屋川警察署」の立て看板や、
「551の豚まん」の袋をみせている。ラスト近くの道ばたの番地表記の札を、地区名のところだけテープで隠している。
登場人物の殆どが大阪弁で、明らかにネイティブではない人にまで大阪弁を強いて話させているにもかかわらず、ディテールがやや甘いのでは。
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