映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」監督ジョン・マッデン at TOHOシネマズ西宮OS

総じて裕福だが60代〜70代に差し掛かった悩める老人達が「ここではないどこか」を求めてインドのジャイプールへと渡る。彼等はそこにあるシニア向けのホテルと喧伝されていたマリーゴールドなるホテルに向かうのだが、そこは謳い文句とは大違いのボロ施設。やたらとハッタリをかます自称支配人のソニー(デーヴ・パテル)に「騙された」と落胆する彼等だったが、やがてインドの風土に慣れ親しみ、そこに楽しみを見つけるようになる…というお話し。
主軸になってるのは夫に先立たれたエヴリン(ジュディ・デンチ)で専業主婦からの自立を目指し現地のベンチャー企業に就職までするが、総じて男性より女性の方が保守的なのが面白い。ゴリゴリの人種差別主義者の元ハウスキーパー(マギー・スミス)、とうとう風土に馴染めない主婦(ペネロペ・ウィルソン)、結局外国人クラブに入り浸る者(セリア・イムリー)…一方男性陣はどんどん外へと出て行き、新しい恋人を見つける者(ロナルド・ピックアップ)、文化に触れることに喜びを見つける者(ビル・ナイ)、そして40年来の心のわだかまりを解消する為に人探しをする者(トム・ウィルキンソン)。脚本の流れとしては意外性に乏しく、予定調和なのだが流石にジョン・マッデン監督の手腕でめくるめくインドの風景を織り交ぜスピード感あふれる演出で見せ切る。ソニー君のカースト制を巡る結婚問題が後半唐突な印象で解決するが恐らく過程の部分を尺の関係でカットしたのではと想像する。
とまれ、ジュディ・デンチの詩的なモノローグはグッと来るものがあるし爽やかで楽しい映画。


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