映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「21グラム」監督アレハンドロ・ゴンザレス・イリニャトゥ at 新宿ピカデリー

 余命ひと月と診断され心臓移植を待つ数学教師(ショーン・ペン)、彼が死ぬ前に人工授精したい妻、キリスト教に過度に傾倒する前科者(ベニシオ・デル・トロ)、愛娘二人を持つ何不自由ない人妻(ナオミ・ワッツ)…全く赤の他人の彼等が一つの事件をきっかけに抜き差しならぬ関係に陥り、運命に翻弄される。
 ジグソーパズルのよう、と形容したい複雑な編集により、時系列は観客の脳内で組み立てなければならないが、その頭脳体操は新たな映画体験だ。
ただそれはデジタル編集技術の成せる技として「これみよがし」な印象も与える。
 ベニシオの鬼気迫る熱演(彼は嘗てのデニーロを想わせる)は、アメリカの低所得者階層の世界をリアルに突きつけ、鉛の鉄球を胸に打ち込まれるような凄まじさだ。それを観るだけでも価値あり。

21グラム (初回出荷限定価格) [DVD]

21グラム (初回出荷限定価格) [DVD]