映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「流れる」監督・成瀬巳喜男 at 九条シネ・ヌーヴォ

1956年東宝作品。この年に公開された成瀬作品は3本。前年の名作「浮雲」から4本目、成瀬絶頂期か。それほどまでに
この「流れる」は傑作。栗島すみ子の凄み、山田五十鈴の絶妙(あの粋な煙草の吸い方!)と哀切、死ぬほど可愛い
岡田茉莉子中北千枝子の愚図、謎めく田中絹代、ナイーブな高峰秀子、そしてそして下品ぶりが空恐ろしいほど巧い杉村春子
このキャラクターの色分け、女の狡さと嫌らしさ全開で神経の刺し合いに明け暮れる一方、単純な強請り屋(宮口精二)には
なす術もない世間知らずな女所帯の脆さ。フィクス、スタンダード、フルサイズを多用したキャメラ
狭い芸者置屋の多彩な人物の出入りを描く技巧に刮目、平伏するしかない。参りました。必見。

流れる [DVD]

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