西欧が強烈に憧れる東洋のキャラクター、サムライとゲイシャ。そのサムライを「ラスト・サムライ」('03)
で描いたハリウッドは「最後のもう一枚」ゲイシャに手をつけたことになる。1997年から製作が検討
されていたというから足掛け8年近く、脚本の推敲だけをとっても大変な道のりだったと想像がつく。
で、ロブ・マーシャル監督。ルックはランタンのオレンジ、おしろいの白が支配する(撮影監督ディオン・
ビーブ)。ちょっと凝り過ぎとも思える過剰な画面設計はシズル感に溢れ、パワフルでさえある。
そしてやはりダンスの人だなと思う。チャン・ツィイーを筆頭に体いっぱい使う女優たちの躍動感が
146分全く飽きさせない。芸者一代記とはいえ、純愛というテーマを中心にしていることが成功しており、
女同士の熾烈な闘いの派手さと、どんな芸者も「旦那」に尽くす、という西欧の憧れがしつこく積み重ねられる。
圧巻はチャンの「娘道成寺」の舞。これが出来るんだな、チャン・ツィイー。
日本人女優がダメだった理由はこのシーンではっきりする。お代は見てのお帰りの大娯楽映画、満喫。
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