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「今宵、フィッツジェラルド劇場で」監督ロバート・アルトマン at 東芝エンタティンメント試写室

ラジオの公開番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」(原題)が舞台。漫談を交えた唄を歌う芸人が代わる代わる登場する公開放送形式だが、どうやらこの日が最後の放送となったらしい。探偵気取りの男と自動車事故で死んだ「天使」がその舞台裏を案内する…というお話し。これがロバート・アルトマン監督の遺作となったが、あらためてこの人のフィルモグラフィを眺めると出来不出来の差が激しい監督だ。最近でも「ゴスフォード・パーク」('01)は傑作だったが、「Dr.Tと女たち」('00)はダメだった。で、今回はというと、残念ながら、という感想を持った。ジョークやギャグはドメスティック過ぎて伝わらないし、名優達の歌合戦は楽しめるが、「だからどうした」感が最後まで付きまとって、シニカルでもなければノスタルジックにも傾かない。演劇調で撮っているのは確信犯だろうが、非映画的を通り越してテレビ中継を観ている思いだった。「遺作」は難しい。