映画和日乗

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「レッドクリフ Part II 未来への最終決戦」監督ジョン・ウー at 109シネマズHAT神戸

壮大な予告編のようなPart Iのラスト、孔明(金城武)の手から飛んで行った白い鳩は、敵軍・曹操(チャン・フォンイー)軍のアンダーカヴァーとなって軍勢に潜り込んでいる尚香(ヴィッキー・チャオ)の情報伝達の役割を担っている。尚香の伝える情報は曹操軍が、相対する孫権劉備連合軍を遥かに凌ぐ兵力を保持していることを物語っていた。折しも劉備軍は、曹操軍の策略に引っかかって疫病患者が続出、弱勢という理由もあって連合軍を解消して撤退する。孫権軍の総大将、周瑜(トニー・レオン)はこの劣勢に於いて敢えて孔明の知略を頼りに勝負に打って出る…というお話し。
兵士になっているヴィッキー・チャオがどう見ても女だろ、という違和感を除けばまぁ黙ってご覧くださいと言うほかない大迫力だ。周瑜の部下、中村獅童が特に素晴らしい。「硫黄島からの手紙」('06)では自爆に失敗していたが、ここでは見事な散りっぷりに涙を禁じ得ない。周瑜孫権達の総攻撃の作戦会議の折、涼しい顔して聞いているのかいないのか分からないような周瑜の妻・小喬(リン・リーチン)の横顔を捉えるカットをしつこく挟むことでその後の展開に圧倒的なエモーションを喚起させているあたり、唸る巧さ。ラスト、曹操周瑜の直接対決はジョン・ウー節炸裂でアドレナリン沸騰状態。傑作、劇場の大画面で見ないと意味なし、お勧め。