映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「リミッツ・オブ・コントロール」監督ジム・ジャームッシュ at シネリーブル神戸

「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送る」という命を受けた男(イザック・ド・バンコレ)がパリからバルセロナへと飛ぶ。次から次へと現れる氏素性不明の女が男にマッチ箱を手渡す。その中の紙片に書かれた暗号をもとに、スペインの田舎町へと列車で赴く。そして…というお話し。
小津安二郎の「反復とズレ」の法則を意識しているのかも知れないが、同じ台詞、同じシチュエーションの繰り返しと僅かなズレが延々と続く。しかしそのスタイルに固執すれはするほど空疎な印象。アルチュール・ランボーやら分子理論やら詩的哲学的に気取れば気取るほど作家としての表現のパッションが弱体化しているように感じられてならない。ま、これをクールと見る向きもあるかも。かつて鈴木清順へのオマージュも見受けられた「ゴースト・ドッグ」('99)もそうだが、ジャームッシュはこの手の「殺し屋もの」はあきませんな。それにしてもこんな脚本にスポンサーがついて自由につくれるのは心底羨ましい限り。音楽はカッコ良かった。