映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「マイレージ・マイライフ」監督ジェイソン・ライトマン at TOHOシネマズ西宮

 原題は"Up In The Air"。邦題は直接的過ぎて身もフタもない感じ。
ビンガム(ジョージ・クルーニー)はリストラ宣告代行業のビジネスマン。会社がある日突然社員にクビを言い渡すことで起きるトラブルを避ける為、このリストラ代行業者が会社に出向き、努めて事務的かつ迅速にクビを言い渡す。折しも不況とあってビンガムは大忙し、全米を飛行機で飛び回る。マイレージは溜まる一方、利用者ステータスも最高級待遇。同じような仕事で飛び回っているアレックス(ヴェラ・ファーミガ)とは後腐れのない関係でたまに逢瀬を楽しむシングルライフ。
 そんな彼に新入社員ナタリー(アンナ・ケンドリック)への研修の辞令が。そして何年も会っていなかった妹から結婚式の招待状が届く…というお話し。
 気の利いた台詞が散りばめられた脚本の素晴らしさに感銘。航空会社による特別待遇にアイデンティティを見いだしていた筈のビンガムが我と我が身を振り返り、故郷に帰ってミドルエイジ・クライシス。もうここから身につまされっぱなし、やってしまうあのドツボの嵌まり方に同情を禁じ得ない。オッサンの青春映画として愛おしささえ感じる傑作。ラストのエンドロールに注目。全米各地でのロケ、その土地で現地クルーを雇っていることが分かる。つまり映画自体が雇用を促進、そこへ被さる留守電に入っていたような音のリストラソング。粋です、お勧め。