映画和日乗

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「オカンの嫁入り」監督・呉美保 at 角川映画関西支社試写室

大阪、京阪沿線の下町。借家暮しの陽子(大竹しのぶ)とその娘月子(宮崎あおい)、陽子は早くに夫を亡くし、月子は生前の父親を知らない。ある日陽子が金髪リーゼントに赤いジャンパーの研二(桐谷健太)を連れて来て、一緒に住むという。あげく研二のプロポーズを「お引き受けします」と言い出した。穏やかでない月子は、大家のおばちゃん(絵沢萌子)の家に転がり込む。月子は、ある事件以来パニック障害を患い電車に乗ることが出来ず会社を退職していた。元板前で料理はプロ、なにくれと面倒見の良い研二に月子の頑な気持ちもほぐれて来たが陽子の癌が発覚する…というお話し。
陽子の癌、がこのストーリーの重要なポイントになっているのでここでは伏せようかと思ったら予告編で明かしている。つまり全ては陽子の余命の為に展開する人情話しである。東映京都撮影所に組まれたセットでじっくりどっしりと芝居中心に見せる演出はムラがなくディティールでくすっと笑わせてくれる。陽子と因縁のある医師を國村隼が演じるとNHKの朝ドラ「芋たこなんきん」の延長戦を見ているようだ。パニック障害の表現は女性監督らしい繊細なキャメラワークと編集で刮目に値する。9月4日公開。

さくら色 オカンの嫁入り (宝島社文庫)

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