コミックのドラマ化が成功したので映画版、という安直な企画かと高をくくって見くびっていた不明を恥じる結果となった。大江千里「格好悪いふられ方」がカラオケビデオの様に歌詞付き(ルビ付き!)で出て来たところから疾走して行き、そのままラストまで釘付けだった。これはただ者ではない、twitterもfacebookもサブカルチャー言語も作り手が咀嚼して使っているので記号も台詞も上滑りしない。主人公幸世(森山未來)の自意識過剰から来る妄想のセコさに身につまされ、「言わんでもいいこと」を言ってしまうミスに同情する。一方ワル編集長リリーフランキーに近い世代としては緩いが確実に落ちる変化球とも言うべきテクニックに膝を打つ。長澤まさみってこんなに良かったか、と思う程ベストアクト。噂によると大根監督が長澤の大ファンだったとか。ラストの恋愛に於けるひとつの真理には不覚にも感動した。森山未來のダンスは流石、この明るさと時代の並走感が今の邦画には必要。「やられた」感で言えば「の・ようなもの」('81)以来の衝撃。
同業者としては褒めている場合ではないが傑作。
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