映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「ファミリー・ツリー」監督アレクサンダー・ペイン at 109シネマズHAT神戸

 長編監督作としては「サイドウェイ」('04)以来7年ぶりのアレクサンダー・ペイン最新作。邦題は家系図のことを指しているのだろうが、原題は財産相続の意。
 ハワイの海辺、喜色満面の面持ちで、疾走するモーターボートの向かい風に当っている女性がオープニング。次のカットではこの女性が病室のベッドで意識不明状態にあり、傍らで書類を捲る夫マット(ジョージ・クルーニー)の姿がある。なかなか映画的な展開。人も羨む楽園暮らし、だが妻の事故をきっかけにマットには様々な苦難が打ち寄せる。自業自得ながら二人の娘とはコミュニケーション不全、そして妻は事故前に浮気をしていたことが発覚。義父にはなじられ、義母は認知症。長女のボーイフレンドはアホ、医師からは妻の容態は悪化こそすれ回復の見込みがないことを告げられ…精神的サンドバッグ状態追い込まれる中年親父の無様が、彼の心理状態そのままの曇天のハワイの風景と牧歌的なウクレレのメロディをバックに展開する。
 ペイン監督、「サイドウェイ」そしてその前の「アバウト・シュミット」('02)と、アッパー人種の苦悩というか、幸せそうに見える他人も、実は「なかなか大変」という視点は一貫しているようだ。とはいえやはりここでのマット氏はズタボロに落ち込みはしない。育ちの良さがそうさせているようでジョージ・クルーニーの演技の匙加減は絶妙といえよう。
後半、懐かしやボー・ブリッジスが出て来て嬉しかった。70歳か。大好きな「恋のゆくえ/フアビュラス・ベーカー・ボーイズ」('89)から22年。



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