映画的日乗

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「儀式」監督・大島渚 at シネヌーヴォ

 

儀式 [DVD]

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  1971年創造社=ATG。

 フィルム上映で観るのは初めて。ニュープリントなのか音声を含め極めて良い状態。大島監督はこの後「夏の妹」で創造社を解散し1976年に「愛のコリーダ」へと突き進む。一作ごとにスタイルを変えて変貌し続ける大島映画だが、この「儀式」こそが大島スタイルのスタンダードであるような気がしてならない。ATGの10周年記念作品としてそれまでの創造社=ATG作品より予算がかけられていることにより、京都の大映撮影所に戸田重昌デザインでセットが組まれた。「愛のコリーダ」が撮影所回帰とも言えるクラシックを感じさせているのに対し、この「儀式」での広大なセットのデザインと撮影はクラシックと前衛のミックスが強い力で表現される。「儀式」あっての「愛のコリーダ」「愛の亡霊」だったのではないか、と想像する。

 '71年の前年に死んだ三島由紀夫を揶揄するかのような登場人物が現れる。結婚式場で警察の武器を使ってのクーデターを目論む旨をアジテートするも、すぐに取り押さえられ、式場の外で事故死する「滑稽」。その結婚式で儀式として「新郎一人」で式を挙げる主人公の「空前の建前主義」。人間の尊厳ある生き方を、共同体の調和という「空前の建前」で蹂躙してきた戦中から、戦後25年経っても変わっていない、変えないこの国のかたちを見事なメタファーで描く。ベルトルッチの「1900年」は1976年か。ラストの幻想のキャッチボール、影響してるように思った。