映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「青春の風」監督・西村昭五郎 at 宝塚シネ・ピピア

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 宝塚映画祭最終日のプログラム、1968年日活作品。

ニュープリントで画質は頗る綺麗。吉永小百合のニキビまでくっきり。

 小百合、和泉雅子山本陽子(全員東京出身だ、関西弁は合格の域)の神戸の短大同級生の卒業後の人生。

和泉雅子の兄でサラリーマンの浜田光夫が何故か方々でモテモテなのに小百合様一直線という他愛ないお話し。それだけでは広がらないので神戸→小豆島→愛媛→小豆島→神戸と移動するロードムービー

場所と名物、提携スポンサー前提で進行するので脚本は無理クリ。撮影の姫田眞左久が著書「パン棒人生」の中で本作のロケについて触れていて、タイアップは一社40万円だったとか。

 

 娘を芸術家としか結婚させない大旅館のお父さん(殿山泰司、ミスキャストだろうな)や「僕だと思って育てて」とハウスキーパー小百合様に愛犬を預けるおぼっちゃまとか「そんな奴おれへんやろ」のオンパレード。神戸出身だからキャスティングされたのか杉良太郎が画家というのもなぁ。

 が、今となってはそんな事はどうでも良いくらいにふんだんに1968年の神戸の風景が描かれているのが見どころ。

冒頭の短大フェンシング部の看板に「松陰」と見えるが実際の神戸松陰短大(現在はない)でのロケかどうかは定かではない。何といってもさんちかタウンとその中のUCCコーヒーの喫茶店。喫茶店は外観だけで中は撮影所のセットだろう。このセットもそうだが、E.H.エリックとイーデス・ハンソン夫婦が住む住吉川上流の旧乾邸(ここは今でもしばしばロケに使われる)の室内のセットも今では考えられないくらい立派。

日活は2年後に大映と統合そして大映破産でロマンポルノに移行。という事はこの時代も既に火の車だっただろう。そう考えると本作の牧歌的なルックはまさしく「夢のあと」。

 和泉雅子が勤めるレンタカー会社はどこだろう。西元町のような感じに見えるが。後方に神戸市電が走っている。

 感慨深いのはラスト。灘区一王山から高羽の交差点。まさに近所、日々の生活コースが映っていた。

浜田光夫の設定が無理クリ過ぎて笑ってしまう巡回犬ドクターで、彼がチラつく六甲の雪を顔に受けながら小百合様に愛を叫ぶ。背景に今はなき田崎真珠の社員寮。一方切り返す小百合様の背景に今もそのまま残る神戸大学工学部の学び舎が。

 個人的にこれだけの風景がパッキングされている事が驚きと感激。ちなみにDVD等ソフト化されていない。

 西村昭五郎監督はこのあと1971年日活ロマンポルノ第一作を撮り、生業としての映画監督業に徹して新生日活の屋台骨を支えた。一度監督協会でお会いした事がある。京大卒、大島渚監督の横で「僕は大島君の先輩なんや」とお二人して笑っていたのを覚えている。