映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

大阪市中央区安堂寺町2「そば切り 文目堂」

讀賣テレビ本社で月例の番組審議会。

八月は夏休みだったので二ヶ月ぶり。いつも一時間強の会議が今回は二時間に。
事件報道のあり方についての談論風発

詳しくは↓

番組審議会報告|番組向上への取り組み|読売テレビ

 

retty.me

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細切り大盛。相変わらず絶品。
大阪で一番好きな蕎麦屋

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帰路に見かけた完璧なフォルムのひこうき雲

 

ひこうき雲

ひこうき雲

  • provided courtesy of iTunes

 

「親愛なる君へ」監督・鄭有傑 at シネリーブル神戸

 

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https://www.instagram.com/dear_tenant/

www.imdb.com  昨年の台湾金馬賞2冠。

 広大な山脈から家屋の窓外に港が見える街へと重ねられるショット。

 そこが基隆である事はすぐに分かる。というのも私は何度もロケハンに行った事がある場所だからだ。

 林健一、というと日本人にもあるような名前だが監督・脚本の鄭有傑は日本語も堪能とのこと。その林健一(莫子儀)と「家族」の関係が当初は不可思議なのだが暫くすると読めて来る。

 健一の男性パートナー王立維(姚淳耀)は何らかの理由で亡くなっていて、彼の遺児・悠宇(白潤音)、その母親で糖尿病を患っている周秀玉(陳淑芳)の面倒を健一が見ている。ピアノ教師の健一は料理をし、秀玉の壊疽しかかった足の治療を手伝う。

 立維の弟は中国(後半の展開で上海と分かる)に住んでいて、旧正月に帰省しているところから半年後、秀玉が死んだことで物語は動き出す。

 時系列を組み替えることでミステリー仕立てになっており、悠宇と養子縁組をしていた健一の検察での証言、遡って遺産目的の健一への殺人の嫌疑、捜査と時間が戻って行く。

 健一は取り調べる検察官に、自信がゲイであることを告白した上で「もし(秀玉の)世話をしている人が女性だったら(疑われないですか)」と問う。

 差別のない社会、はお題目としては美しいが理性としてのそれと、人間の内的な抑えきれない差別の因子が齟齬を生むのはむしろ自然である。

 健一はそのことを解っている。彼がどんな時もひたすらに他人に優しいのはそのせいなのだと思う。

 殺人犯として健一を追う刑事(吳朋奉)は健一が遺して行く逃亡の形跡を簡単に見抜いて追い詰める。当初、健一のそうした詰めの甘さは脚本上のご都合主義なのかと思ったが、観終わって考えをあらためざるを得ないのは「いずれ捕まる、その前にしたい事がある」という後半の展開だからだ。

 まだ観ていない人の為に彼が逮捕される、という事までしか書かないことにしておく。真相はまた別のところにある。

 愛にのみ生きる人生の素晴らしさと苦難を彼の逮捕までの行動が示す。

 ラストは詩=言葉を大切にする台湾人の本領。巧い。

 実は私の「ママ、ごはんまだ?」に出演してくれた吳さんの遺作(2019年撮影)ということでこの映画をどうしても観たかった。

台湾の名優 吳朋奉(ウー・ポンフォン)を偲んで: アジアンパラダイス

ameblo.jp

 佳作、お勧め。

 

 

 

 

「モンタナの目撃者」監督テイラー・シェリダン at OSシネマズハーバーランド神戸

 

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WarnerBros.com | Those Who Wish Me Dead | Movies

 脚本家として頭角を現し監督した「ウインド・リバー」(2017)が素晴らしかったテイラー・シェリダン

「ウインド・リバー」監督テイラー・シェリダン at シネリーブル梅田 - 映画的日乗

 

 本作は脚本家としてプロデューサーからリライトを依頼されていたが、途中で監督が降板、急遽の登板となったらしい。

 落下傘で火災現場に降下していく消防隊がオープニング。これが回想で、隊員の一人ハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)が判断ミスで犠牲者を出していることが示される。

 このハンナ演じるアンジーが警備隊仲間とかなりクサめの演技ではしゃぐシークエンスはシェリダン監督らしくない。

一方とある司法書士の父子家庭が突如二人組の殺し屋に狙われる。何か重大な犯罪の真相を握っている為らしい。

 森林警備隊と彼らの仲間である警察官夫婦、そして司法書士一家と殺し屋が点から線となって絡れて行く展開。

 しばしばニュースで見る米国の森林火災、本作では落雷が頻繁に起きてそれが一因とされるが、こんな記事が。

jp.reuters.com  なるほどリアリティはあるという訳だ。

殺し屋二人組の隙のない殺人テクニックがいかにも軍隊仕込みなのだが、この彼らをクライアントが雇っている目的は映画の最後まで明かされない。そこをスパッと切ってしまったのはどうにも消化不良。

 殺人捜査に当たる警官の妻アリソン(メディナ・センゴア)は黒人で妊娠6ヶ月。このアリソンを焼きゴテで拷問しようとする殺し屋は'70年代の黒人奴隷をいたぶる数々の映画の記憶を呼び覚ます。更にそこから白馬に跨って猟銃で反撃という展開は素晴らしく映画的で、火の粉舞い散る森での殺し屋との決闘もキマっている。ここにはアリソンがサバイバル・スクールを営んでいるというバックボーンが効いている。

 アンジーの役どころから、どうしても話の流れが見えてしまい全体のトーンから一人浮いて見えてしまうものの100分手頃な時間で楽しめる娯楽映画ではある。

 手間隙かけた苦心のあとは見えるがB級テイストなんだな。お仕事をしたシェリダン監督。

 

 

灘大学特別講座「映画のミカタ」第三夜「死ぬまでにこれを見とけ!白羽弥仁が選ぶ映画100本」

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1本1分としても100分なので規定時間の90分オーバーは必至だったのだが、結果120分喋ってしまった。