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脚本家として頭角を現し監督した「ウインド・リバー」(2017)が素晴らしかったテイラー・シェリダン。
「ウインド・リバー」監督テイラー・シェリダン at シネリーブル梅田 - 映画的日乗
本作は脚本家としてプロデューサーからリライトを依頼されていたが、途中で監督が降板、急遽の登板となったらしい。
落下傘で火災現場に降下していく消防隊がオープニング。これが回想で、隊員の一人ハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)が判断ミスで犠牲者を出していることが示される。
このハンナ演じるアンジーが警備隊仲間とかなりクサめの演技ではしゃぐシークエンスはシェリダン監督らしくない。
一方とある司法書士の父子家庭が突如二人組の殺し屋に狙われる。何か重大な犯罪の真相を握っている為らしい。
森林警備隊と彼らの仲間である警察官夫婦、そして司法書士一家と殺し屋が点から線となって絡れて行く展開。
しばしばニュースで見る米国の森林火災、本作では落雷が頻繁に起きてそれが一因とされるが、こんな記事が。
jp.reuters.com なるほどリアリティはあるという訳だ。
殺し屋二人組の隙のない殺人テクニックがいかにも軍隊仕込みなのだが、この彼らをクライアントが雇っている目的は映画の最後まで明かされない。そこをスパッと切ってしまったのはどうにも消化不良。
殺人捜査に当たる警官の妻アリソン(メディナ・センゴア)は黒人で妊娠6ヶ月。このアリソンを焼きゴテで拷問しようとする殺し屋は'70年代の黒人奴隷をいたぶる数々の映画の記憶を呼び覚ます。更にそこから白馬に跨って猟銃で反撃という展開は素晴らしく映画的で、火の粉舞い散る森での殺し屋との決闘もキマっている。ここにはアリソンがサバイバル・スクールを営んでいるというバックボーンが効いている。
アンジーの役どころから、どうしても話の流れが見えてしまい全体のトーンから一人浮いて見えてしまうものの100分手頃な時間で楽しめる娯楽映画ではある。
手間隙かけた苦心のあとは見えるがB級テイストなんだな。お仕事をしたシェリダン監督。