映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「69 Sixty Nine」監督・李相日 at 三宮東映

村上龍の同名小説の映画化。
タイトル通り、1969年の長崎、佐世保が舞台。
この小説を映画化したいと熱望したある監督を知っているが、1974年生まれ、つまり'69年の空気を知らない李監督と売れっ子官藤官九郎脚本で映画化が実現。
ノンポリの高校生達がただ女のコの気を惹きたい為に学校をバリケード封鎖してしまう話しがメインの、ひと夏の青春の日々が描かれる。
主人公ケン(またまたまたまた妻夫木聡)は殆どセックスのことしか考えていない割には肉感としてのそれは伝わってこない。
この辺りは作者達の生理なのだろう。
その代わりと言ってはナニだが、「うんこ」がリアルに登場する。
基地の町、ベトナム戦争の時代、政治の季節、といった辺りはさらっとなぞっているだけの印象が評価を分けるやも知れないが、これは李監督+クドカン脚本をチョイスしたプロデュースサイドの確信犯で、これはこれで楽しめる仕上がり。
キャメラ(柴崎幸三撮影)が素晴らしい。疾走感がよく出ている一方、相反するカチッとしたフィックスが抜群。