「ニワトリはハダシだ」監督・森崎東 at シアター・イメージフォーラム

京都、舞鶴。潜水夫のチチ(原田芳雄)は、知的障害の息子サム(浜上竜也)を潜水夫にしようと奮闘中、だが、別居中のハハ(倍賞美津子)とは教育方針が折り合わない。サムの通う養護学校の先生(肘井美佳、新人好演)は大物検事の娘、時々居なくなってしまうサムを探す毎日。
ある日、ヤクザの組長が所有するベンツが盗難され、その捜査線上にサムの奇妙な行動が浮かび上がる…
というお話しだが、途中でアッとなったのは、ある事件を思い出したからだ。
逮捕された被告の住所がウチの近所だったので鮮烈に覚えていた。
明らかにこの検察裏金疑惑事件がベースにある。かの「寅さん」も撮った森崎監督、松竹同門の山田洋次監督に比して、より社会の底辺に目線を向け、時にインディペンデントに転じて天皇を長とするヒエラルキーによる圧迫を告発して来た。本作でもその姿勢は色濃い。
何より元気一杯(77歳)、横に縦にと走り回る登場人物たちを追うアクションが楽しい。
サムが絶体絶命になると脈絡無く助けに現れるチチという展開がやや強引な印象だが、それすら映画的馬鹿ヂカラに見える。
今年一番ヤバい日本映画。おすすめ。

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