映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」監督ジェームズ・マンゴールド at MOVIX六甲

1944年の米国南部から物語は始まる。JR.キャッシュことジョニー・キャッシュ(ホアキン・フェニックス)
は幼少期に事故で兄を喪い、そのことで責め立てる父親との確執がトラウマとなったのだが、
長じてカントリー歌手として成功する。その栄光が持たらしたものはクスリと女、
糟糠の妻との家庭崩壊…と「Ray」('04)で描かれたレイ・チャールズ物語とさほど変わらない。
が、この映画がとても素敵なのは、
ジョニーが米国中をツアーで回る際に同行する歌手ジューン・カーター(リース・ウィザースプーン)との「腐れ縁」を繊細に描いている点だ。
反発と蜜月、突き放し、助け合い、やがて長い年月が関係を成熟させる。この男女の腐れ縁をどう帰結させるか、
そのラストはなかなか粋で感動的。ホアキンは普通にしていてもエキセントリック
に見えるのでヤク中のシーンはオーヴァー・アクトな印象。対してウィザースプーンは素晴らしい名演、
今作でオスカー獲得。にしてもご両人自分の声で唄い、演奏したとは天晴れ。佳作、お勧め。