映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「間宮兄弟」監督・森田芳光 at アスミック・エース試写室

江國香織の同名小説の映画化。
30代、共に独身の間宮兄弟(佐々木蔵之介&塚地武雄)は何故か大変仲良し、
趣味的なことが何より生き甲斐。弟の職場にいる葛原(常磐貴子)、兄弟の通うレンタルビデオ屋の
店員(沢尻エリカ)を自宅に招いてカレーを振る舞ったり、ゲームをしたり。
なのに恋愛には不器用でどこかズレている。案の定フラれるのだが、それでも日々は楽しい…というお話し。
これといって劇的な展開は全くない。
しかし、この幸福感は現在ただいまのこの世界には貴重だとしみじみ思う。
そう、ここに描かれている日常は完璧に非日常なのだ。描かれている細部は
感動的な完成度の高さである。森田作品としてはデビュー作の「の・ようなもの」('81)に
近いテイスト。映画監督はデビュー作で最も自分の資質が色濃く出るもの。
最早ベテラン巨匠の森田監督が、その資質、言い換えれば得意科目で原点回帰したともいえる。
常磐貴子は前作「星になったなんとか」より数段素敵だし、
沢尻エリカに「事後」を演じさせるなど森田節全開。傑作、お勧め。5/13公開。