映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「輝ける女たち」監督ティエリー・クリファ at CINEMART銀座試写室

南フランス、ニースにあるレヴュー劇場のオーナー(クロード・ブラッスール)が突然死亡。病気を苦にしての自殺だったらしい。このオーナー、女装で歌う元芸人だった。彼を師と仰ぎ、かつてはテレビで一世を風靡した手品師のニッキー(ジェラール・ランバン)は別れた妻(カトリーヌ・ドヌーヴ)と愛人(ミュウミュウ)がおり、妻との間には息子、愛人との間には娘がいる。今は劇場の歌手(エマニュエル・べアール)に夢中になっている「恋多き男」。彼は自分が劇場を相続するものと思っていたが、オーナーの遺言は彼の息子と娘に譲る、というものだった。パリでそれぞれ仕事を持つ息子と娘は、父親を憎悪しており、劇場を手放そうとする。が、元妻と愛人の、ニッキーへのいまだ続くくすぶった思いと、劇場の「ある秘密」を知った息子は…というお話し。
タイトルからして「女の生き方」みたいな売り方をしたいのだろうが、これは家族についての話しだ(原題は"Le Heros de la Famille"家族の英雄)。とはいえ、そこはフランス、恋愛の果ての家族であり、それぞれの新しい恋もあり、と首締めちゃうほど思い詰めることが愛だというどこかの国とは違って「私の人生」を第一義とする凛々しさに精神の成熟を感じさせる。特にドヌーヴの堂々が見事、他を圧倒し(そのせいかミュウミュウは地味、べアールは精彩を欠く)、まさしく輝いている。全体にオーソドックスでこじんまりとしたホームドラマ、新味はないが手堅く、楽しめる。4月公開。
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