映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「JUNO/ジュノ」監督ジェイソン・ライトマン at シネカノン神戸

 ジェイソン・ライトマン監督は「ゴースト・バスターズ」('84)のアイヴァン・ライトマン監督の息子。
 さて、お話しはアメリカの田舎町、16歳のジュノ(エレン・ペイジ)が不覚の妊娠、一旦は堕胎をと思うが、友人のひと言で出産を決意する。が、自分で育てるのではなく、裕福な家庭に養子に出すことを計画。ほどなく適当な夫婦が見つかり、父親と共に訪ねる。そこには一見絵に描いたような裕福なカップルがいたのだが、しかし…という展開。ジュノの才気ばしって皮肉たっぷりの台詞が厭味ぎりぎり、それでいて子供っぽさもあって、というキャラクターが素晴らしい。育児放棄、いやアメリカ人特有のドライさによる養子縁組、と見られるかも知れないが、堤未果著「貧困大陸アメリカ」(岩波新書)を読んでから観ると、この映画がアメリカの格差社会の厳しい現実を表していることに気づく。ラスト、「小さな愛」に抱かれて「大きな喪失」を堪えるジュノの健気さが素敵。繊細でCUTEな映像感覚、おすすめ。